商標登録後のワンポイントアドバイス
商標登録を無事に完了して商標権が発生すると、ホッと一安心するものです。
一方で、ホッとするためか、その記憶は徐々に薄れていきます。
そして、気が付くと「いつの間にか何年も経っている」ことが少なくありません。
商標登録は、登録後も商標の管理や使用をしっかり行わないと、いざという時に痛い目を見ることがあるので、注意が必要です。
そこで、本ページでは、商標登録後の5つの注意点をご紹介いたします。
1.更新期限の管理を忘れないようにしましょう。
2.適切な使用をしましょう。
3.使用態様に気を付けましょう。
4.普通名称化を防止しましょう。
5.社名や住所が変わっていないかチェックしましょう。
1.更新期限の管理を忘れないようにしましょう。
商標権の存続期間(有効期間)は、原則として登録日から10年間です。
そして、更新手続をすることでさらに10年間、権利を保持することができます。
この更新手続は、所定の期間(満了の6か月前から可)に行なう必要があり、手続をしなかった場合にはその後、商標権は消滅します。
特許庁からあらためてお知らせ等は来ませんので、この手続の期限を忘れてしまうと、大切な商標権を失うことになります。
更新期限の管理には、くれぐれも注意してください。
特許事務所に商標登録を依頼した場合は、一般的には、更新期限が近付いている旨のお知らせが届きますが、あくまで補助的なサービスであり、絶対の保証はありません。
このようなサービスを過信せず、各自でも適切に管理することが大切です。
なお、更新手続をしたいが、どのようにやればよいかわからないといった場合には、当事務所へのご依頼も可能です。料金(税込)は次のとおりです(2022年4月現在)。
商標権の更新サービス
区分数 | ①当事務所手数料 | ②特許庁印紙代 | 更新費用合計 |
---|---|---|---|
1区分 |
27,500円 |
43,600円 |
71,100円 |
2区分 |
33,000円 |
87,200円 |
120,200円 |
3区分 |
38,500円 |
130,800円 |
169,300円 |
※上記料金は、10年分の更新登録料を納付する場合のものです。
※上記料金には、更新に関する相談料も含まれます。
※送料等の諸経費が別途発生する場合がございます。
※複数の区分がある場合は、特定の区分のみを更新することも可能です。
お問い合わせ、ご依頼は以下のフォームより簡単に行なっていただけます。
どうぞお気軽にご連絡ください。
サービスご提供までの流れ
なぜ商標のことなら当事務所なのか?
2.適切な使用をしましょう。
商標登録をする商標は、登録の時に実際に使用されていることは必要とされません。
しかし、そもそも使用しない商標は保護をする必要がありませんので、制度上の建前として、登録商標は「使用されること」が前提とされています。
そこで、商標法は、不使用取消審判という制度を採用しています。
これは、商標登録を受けた商標が継続して3年以上、その指定商品や指定役務に日本国内で一度も使用されなかった場合、第三者からの請求によって登録が取り消されてしまう、といったシステムです。
誰かに請求されない限り、自動的に取り消されることはありませんが、日本国内で使用していなければ取り消されてしまう可能性がありますので、要注意です。
3年以上という期間を頭の隅において、できるだけ使用するようにしてください。
なお、不使用取消審判が請求されてしまった場合には、実際に商標を使用した事実を証明できる証拠(商品パッケージ、広告物、カタログ、納品書、請求書等)を提出する必要があります。日付がわかる態様で、定期的に保管をするようにしてください。
3.使用態様に気を付けましょう。
上述の不使用取消審判への対策として、もう一つ重要なポイントがあります。
それは、あくまで「登録商標を使っていることが必要」であるという点です。
つまり、原則として、登録商標(登録証に掲載されている態様)と同じものを使用していなければ、取消を免れません。類似商標を使っていてもダメなのです。登録後に、商標に変更を加えて使用をしているような場合には特に注意が必要です。
しかしながら、商品・サービスに関する事情や、時代の流れ、取引の実情によって、商標をマイナーチェンジすることは実際にはよくありますので、あまりにも厳格に判断されるのは妥当ではありません。
そこで、商標法では、登録商標と完全に同一ではなくても、社会通念上同一といえるものであれば、これを同視するとしています。
社会通念上同一となる例としては、次のようなものがあります。
(2)平仮名、片仮名、ローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、
同一の称呼及び観念を生ずる商標
(3)外観において同視される図形からなる商標
(1)は、たとえば明朝体で登録を受けたものをゴシック体に変更したような場合が該当します。また、(2)は、たとえばローマ字の「apple」を「アップル」に変更したような場合が該当します。
(3)は、たとえば以下のような変更を加えた場合が該当するとされています。
商標を二段併記で登録している場合は、特に注意してください。
上下の文字が、観念上まったく異なるような場合、一方だけを使用していても「登録商標の使用」とは認められない運用が定着しており、このような理由で取り消されたものも多く存在しています。
4.普通名称化を防止しましょう。
商品やサービスが、これまでに世の中に存在していなかったような斬新なものである場合、使用されている商標が、それらの普通名称と認識されることがあります。
たとえば、過去実際に普通名称と認められたものとしては、「正露丸」(クレオソートを主剤とする丸薬)、「しろくま」(かき氷)、「サニーレタス」(レタス)など、多数あります。
このように商標が普通名称化した場合、たとえ商標権を持っていても、もはや権利の効力は及ばなくなり、誰でも自由に使うことができるようになってしまうため注意が必要です。
登録後の管理の一環として、普通名称化の防止は非常に重要となります。
対策としては、たとえば以下の手段があり、可能なら組み合わせることが理想です。
(2)商品やサービスの一般名称を併記する。
(3)辞書や事典に掲載された場合には、これが登録商標である旨の説明を
加えるか、削除することを出版社等に求める。
5.社名や住所が変わっていないかチェックしましょう。
登録後、何年も経っていると、その間に会社名が変わっていたり、オフィスの場所が移転したりしていることも少なくありません。このような場合、法律的には、商標権者の名称や住所について変更届を出さなければならない、といった義務はありません。
ですが、たとえば、上述のような不使用取消審判が請求されたような場合、古い住所の記録のままでは、特許庁からの通知が以前の住所に配達され、これが不達となって不利な扱いを受けるリスクがあります。
ですので、このようなトラブルを回避するためにも、社名や住所が変更となった場合には、遅滞なく登録変更届を提出することが理想です。
※詳しくは、「商標登録の後に会社名変更・住所変更があったら」をご一読ください。
なお、商標権の更新期限が差し迫っているような場合には、更新申請手続と同時に、まとめて登録変更届を提出してもよいでしょう。
商標権者の名称や住所の登録変更には、所定の手続が必要となりますので、専門家である弁理士に依頼することをお勧めします。
当事務所に各種手続をご依頼いただくこともできます。
ご相談、ご依頼は以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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おわりに
このように、商標登録を受けたからといって安心し、油断していると、様々なリスクが実は潜んでいることをご理解いただけたのではないかと思います。
末永く付き合っていく大切な商標だからこそ、日々の管理やメンテナンスを怠らずしっかり行なっていきましょう!!
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