商標権侵害の警告書が届いた
商標権侵害の警告書は、ある日突然届きます。
まっとうな事業者であれば、わかっていて他人の商標権の侵害行為をするようなことはまずないはずです。多くの場合は、「知らないうちに、やってしまった」というのが実状でしょう。
警告書が届くと、驚いてパニックになるかもしれません。
しかし、必ずしも本当に相手方の商標権を侵害しているとはかぎりません。
中には、「勘違い」や「言いがかり」によるものもあるはずです。
ですから、まずは落ち着いて、冷静に状況を確認することが大切です。
そして、十分な検討の上で、相手方に具体的な対応をとっていく必要があります。
本ページでは、商標権侵害の警告書が届いた際に、留意すべき点や検討すべき点などについて、ご説明いたします。
※ご注意:本ページに掲載している対応は一般論としての一例であり、
実際には、個別具体的な状況に応じて、適切な対応を検討する必要があります。
あくまでご参考としての情報提供となる点につき、ご了承ください。
1.まずは落ち着いて冷静になる
2.相手方の登録商標を確認する
3.商標権侵害の成否を検討する
4.弁理士・弁護士に相談する
5.具体的な方針・対応を検討する
6.反省点を踏まえての商標登録・商標調査
7.当事務所がお手伝いできること
1.まずは落ち着いて冷静になる
商標権侵害を指摘する相手方からの書面は、初めから「警告書」といった表題で来る場合もあれば、「通知書」のような表題で来る場合もあるかと思います。
いずれにしても、ある日突然このような書面が届いたら、真面目な事業者ほど頭が真っ白になって、パニックになるかもしれません。このような書面の中では、「損害賠償請求」とか「刑事告訴」といった言葉が使われることもよくありますから、これらを目にして余計に焦ってしまう方は少なくないと思われます。
真面目な人ほど、すぐに相手方に電話などで連絡や問い合わせをしたくなるかもしれませんが、まずは落ち着くことが大切です。この段階で慌てて相手方へコンタクトすることは、得策ではありません。
まずは落ち着き、冷静に物事を判断できる心身の状態を整えましょう。
2.相手方の登録商標を確認する
少し落ち着いたら、警告書などの書面の内容を十分に確認しましょう。
相手方が商標権侵害を指摘している、元となった商標登録の「登録番号」が書面には記載されているはずです。まずは、これを手がかりに、この登録商標が本当に実在するのか、どのような登録内容となっているのかといった点を確認することが重要です。
本来であれば、特許庁の商標登録原簿を確認するのが望ましいですが、取り急ぎの手段としては、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のデータベースを用いて確認をすると良いでしょう。
まず、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」にアクセスしたら、上部ラベルの中にある「商標」の文字にカーソルを合わせます。すると、いくつかの検索メニューが下に表示されますので、「商標番号照会」を選択しましょう。
クリックすると、「商標番号照会」の検索画面が表示されます。
「番号種別」の上から2番目の項目に「登録番号」と表示されているはずですので、この右側にある入力枠に、相手方が記載している登録番号を入力します。入力ができたら、下部にある「照会」ボタンをクリックします。
すると、その登録番号の商標データが表示されます。
青字になっている登録番号をクリックすると、登録内容の詳細が表示されます。
登録内容が表示されたら、まずは以下の項目を確認しましょう。
(1)商標
相手方の具体的な商標を確認します。
画面右側に、商標見本が表示されています。
(2)権利者
権利者が相手方で間違いがないか確認します。
画面左側の「(732)権利者」に、名称や住所が表示されています。
表示される住所は、全体の一部となります。
(3)存続期間
権利が現在有効であるかを確認します。
画面左側の「(180)存続期間満了日」に、具体的な日付が表示されています。
これらに間違いがなく、書面の内容に不自然な点もないようであれば、次は相手方の主張の適否について検討することになります。
※※※商標データが表示されない場合※※※
表示されない場合の理由として考えられるのは、
・相手方の記載している登録番号に誤記がある場合
・書面の内容がまったくのデマカセである場合
・データベースの情報更新が遅れている場合
などが挙げられます。
この場合は、先程の「商標番号照会」のメニューの下にある「商標検索」を選択して、こちらの検索画面で商標を入力して探します。
それでも、それらしき商標データが出てこない場合は、相手方の書面内容がデマカセの可能性も否定できませんが、検索方法に問題がある可能性もありますので、早合点はしない方が良いでしょう。特に、代理人として弁護士等が相手方に付いている場合は、まずデマカセということは考えられません。いずれにしても、このような場合は、速やかに後述の「4.弁理士・弁護士に相談する」に進み、あらためて専門家に確認を任せるのが得策です。
なお、現在のデータベースの仕様では、相手方が登録番号を把握できているという時点で、情報更新が遅れているということは、まず考えられないと思われます。
3.商標権侵害の成否を検討する
相手方の商標権が間違いなく有効に存在していること、名義等にも不自然な点がないことなどを確認したら、次は実際に、ご自身の行為が本当に商標権侵害となるのかどうかを検討することになります。
具体的には、商標の共通性(同一または類似となるか)、商品・サービスの共通性(同一または類似となるか)、商標の具体的な使い方(商標としての使用となるか等)、商標権の効力が制限されないか等を慎重に検討する必要があります。
しかし、これらを検討するには、高度な専門知識が必要となります。
よって、一般的な事業者にとっては、上述の2までの対応が限界でしょう。
ここからは無理をせず、専門家に任せることを強くお勧めいたします。
可能な限り速やかに、弁理士や弁護士にご相談されるのがよろしいでしょう。
なお、このご時世ですので、「できるだけ費用をかけたくないから、自力でなんとかしたい」と考える方も少なくないと思われます。その気持ちはわかるのですが、下手な対応をして訴訟を起こされてしまっては、対応にそれ以上の費用がかかる可能性もある点は忘れてはなりません。
商標権侵害の警告が来る時点で、一般的には深刻な事態と考えられます。
この点はよく踏まえた上で、対応を検討されることをお勧めいたします。
4.弁理士・弁護士に相談する
上述のように、商標権侵害の成否の検討は、専門家の力を借りなければ難しいと言えます。
したがって、ここからは無理をせず、商標の専門家である弁理士などに速やかにご相談されることを強くお勧めいたします。
弁理士は、商標を含む知的財産のプロフェッショナルです。
また、弁護士の中にも、知的財産権を専門とする者がいます。
自社に顧問弁護士がいる場合は、取り急ぎご相談されるのもよろしいかもしれません。
ただ、商標実務の知識や経験がほとんどないことも考えられます(おそらく、大半の弁護士が当てはまると思われます)ので、その場合は正直に申し出てもらい、すぐに商標に詳しい弁護士や弁理士を紹介してもらった方が無難でしょう。知ったかふりでの中途半端な対応を進められてしまうのが一番危険と言えます。
弁理士であれば、まず商標分野には精通しておりますので安心ですが、やはり個人差は否定できません。可能であれば、商標専門の弁理士(商標弁理士)にご相談された方が、安心かもしれません。この点は、知的財産を専門とする弁護士でも同じです。
弁理士の多くは、「特許事務所」で仕事をしております。
インターネットで弁理士を探す場合は、「特許事務所」をキーワードにすると見付けやすいでしょう。なお、日本弁理士会が提供する「弁理士ナビ」のサイトからも、全国の弁理士を探すことができますので、ぜひご利用ください。
ちなみに、特許事務所の中には、弁護士が在籍する事務所もあります。
一方で、法律事務所の中にも、弁理士が在籍する事務所があります。
中には、「弁護士であり、弁理士でもある」という心強い人もいます。
これらは比較的規模の大きい事務所に多いですが、このような事務所では弁護士と弁理士が協働して事件に対応してくれることが期待できます。今後の相手方とのやりとりを踏まえると、こういった事務所にご相談されることも検討の余地があるでしょう。
5.具体的な方針・対応を検討する
商標権侵害の成否について弁理士や弁護士による見解が出されたら、これに基づき、今後の方針を十分に相談した上で、どのように対応するかを決める必要があります。
具体的な対応としては、「回答書」などの書面を相手方に送ることになりますが、どういった内容で回答するかは、慎重に検討する必要があるでしょう。(回答書の送付など、今後の相手方とのやりとりは、弁護士に代理人として依頼することができます。)
大きな選択肢としては、「相手方の要求に応じる」、「相手方の主張は妥当ではないので、要求には応じない」のいずれかというのが一般的になるでしょう。
実際には、事を大きくしたくないので、「相手方の主張は妥当ではないが、要求に応じる」というケースも少なくないでしょう。もちろん、要求に応じる場合でも、全部に応じる場合、一部だけ応じる場合、条件付きで応じる場合など、様々なパターンが考えられます。相手方に対して、逆に解決策を提案する場合もあるでしょう。
要求には応じない旨を回答する場合は、当然、その理由を述べる必要があります。
これに相手方が納得すれば、そこで終わりとなるケースもあるでしょう。
一方、相手方が意固地であれば、再度の通知書等が引き続き届くことが考えられます。お互いに収拾がつかなくなれば、最終的には侵害訴訟を提起されることもあり得ます。なお、相手方が強気であれば、最初の回答の後すぐに、訴訟を提起される可能性も否定はできません。
このように、相手があることですので、対応は決してやさしくはありません。
具体的な対応にあたっては、やはり相手方の本気度、強気度や、ご自身が何(どんな点)を優先し、重要視するか等、様々な観点も十分に考慮した上で慎重に検討することが大切になります。
6.反省点を踏まえての商標登録・商標調査
そもそも、商標権侵害の警告書が届くトラブルというのは、ご自身が商標登録や商標調査を怠っていたために起こることがほとんどでしょう。
ですから、今回の反省点を踏まえて、今後は事業を継続する中でしっかりと商標対策を行なっていただくことを強くお勧めいたします。
新しい商標を考えたら、実際に使い始める前に、これが他人の商標権を侵害することがないか「商標調査」により確認することが大切です。そして、問題がなさそうであれば、しっかりと「商標登録」までしておくべきでしょう。
商標権侵害を軽く考えている事業者は意外と多いのですが、いざトラブルに巻き込まれると、いかにご自身の考えが甘かったのか、身をもって知ることになります。今後はぜひ、同じようなトラブルに巻き込まれないよう、細心の注意を払いましょう。
7.当事務所がお手伝いできること
紫苑商標特許事務所では、商標権侵害の警告書が届いた場合のご相談を、弁理士が承っております。弁理士が取扱可能な業務範囲内で、具体的な対応についてもご依頼いただけます。
当事務所は、商標専門の特許事務所です。
商標実務15年以上の経験を有する代表弁理士が、丁寧に担当させていただきます。
商標権侵害の警告書が届いてお困りの場合は、ぜひご相談ください。
当事務所へのご相談・お問い合わせ
当事務所へは、以下のフォームよりご相談・お問い合わせください。
追って弁理士より、Eメールにてご連絡を差し上げます。
初回の当事務所からの回答は無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。
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