2.担当の弁理士の関与が不十分
商標実務担当者の声
料金が格安だったので、ある事務所に依頼したところ、
担当者の名義は弁理士ではあるが、実際の作業は他のスタッフが行なっているように感じる。
そのため、弁理士に問い合わせをしてもすぐに話がかみ合わないことがあり、困っている。
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これも、よく聞くお困りごとの一つです。
近年、特許事務所も厳しい競争状態にあり、価格競争を行なう事務所も多くなってきました。
中には、驚くほど格安の料金を謳った特許事務所をインターネットで見かけることもあります。
このような格安料金の事務所が経営を維持するためには、普通に考えれば、
①従業員を安く雇う、②受託件数を極めて多くする、といった方法を取るほかないのではないでしょうか。
その場合、一般的には、それなりの経験・実績のある弁理士が格安の給料で働くということは考えにくいです。
経験も実績もない駆け出しの弁理士が担当するケースが必然的に増えるでしょう。
また、受託件数を極めて多くする場合には、弁理士資格を持たないアルバイトの補助スタッフを増やして、
ある程度は対応することになると予測されます。1件の処理にかけられる時間も極めて短時間に限られますので、
担当の弁理士も、膨大な数の案件すべてを把握しきれないのが普通だと思われます。
商標権の質の確保や商標戦略といったサポートはこの際問わず、
「単に商標登録できればそれでいい」ということであれば、
そのような格安料金の事務所に依頼するのがベストだと思います。
厳しい景気の世の中ですから、費用面で依頼人に優しい格安事務所を否定するつもりはありません。
ただ、一方で、商標登録を希望する商標に想いや理念が込められており、
ご自身の商標を「我が子」のように末永く大切にしていきたいというお気持ちであれば、
料金だけを事務所選別の基準とせずに、1件1件の案件を大事にしてくれるような事務所に
依頼されるのがよろしいのではないかと思います。
お子さんを、どのような保育園や学校に預けるかは、きっと料金だけでは判断されないのではないでしょうか。
当事務所では、このような商標に込める皆様の想いや気持ちについても、大切にすることを重視しております。
(詳細は、「当事務所の想い」をご覧ください。)
なお、格安料金を謳った特許事務所に依頼したところ、出願時の料金だけが極端に低額である一方、
中間処理時や登録時の手数料が一般的な特許事務所よりも高額で、
「トータルすると全く安くなかった」という話も稀に耳にすることがあります。
格安事務所に依頼する際には、登録時までの一連の見積もりを必ず忘れないようにしてください。
特に、インターネットサイト上で、未だに登録料を5年分として格安料金をアピールしていたり、
料金に印紙代を含めることなく「商標登録が○○○○○円!!」といった宣伝広告をしている、
弁理士倫理が疑われるような特許事務所には、ご注意下さい。