Q1-18:商標登録後の注意点はありますか?
ANSWER
無事に商標登録が完了したら安心するものです。
しかし、登録後も、登録商標の適切な管理や使用に注意する必要があります。
1.商標権の更新管理
商標登録によって発生する権利である「商標権」の存続期間(有効期限)は、
原則として登録日から10年間です。(ここでは、登録料を分納した場合の話は除きます。)
商標権は更新手続によって、さらに10年間権利を保持することができ、
この更新は何度も繰り返し行なうことができます。
商標権の更新手続は、原則として、存続期間満了の6か月前から可能です。
更新をしなかった場合、商標権は消滅します。
したがって、あなたの財産として、商標権を末永く大切にしていきたいということであれば、
この更新手続を忘れないように、注意しなければなりません。
特に、手続可能時期について、しっかりと管理・把握することが必要です。
商標登録直後は記憶も鮮明ですが、10年後にはすっかり忘れてしまっていることも考えられます。
特許事務所に商標登録を依頼した場合には、更新期限についても管理していることがほとんどですが、
万一に備えて、ご自身でもしっかりと商標管理を行なうようにしましょう。
2.登録商標の適切な使用
登録商標を、適切な態様できちんと使用するように注意してください。
継続して3年以上使用していなかった場合や、他人の商標と混同を生じるような態様で使用した場合、
第三者からの請求によって、登録が取り消されてしまう可能性があるためです。
できれば、商標登録した商標と同じ態様で、使用されることを強くお勧めします。
(商標登録証に掲載されてあるのが、登録された態様です。)
上下二段併記の文字で登録を受けている場合や、文字と図形を結合して登録を受けている場合、
その一部だけを使用しても、「登録商標を正しく使用したとは認められない」として、
取り消されるおそれがありますので、注意してください。
このように登録商標をマイナーチェンジして使用する場合、上記のようなリスク回避のためにも、
専門家である弁理士のアドバイスを求めるのが得策です。
3.普通名称化の防止
登録商標を使用している商品やサービスが、これまでに世の中になかった新種のものであるような場合、
それが「普通名称」として用いられないように注意してください。
その登録商標が普通名称になってしまうと、もはや他人が使用することに対して商標権の効力が
及ばなくなってしまうためです。身近な例としては、「正露丸」が普通名称と認められた例があります。
最近の裁判例では、「招福巻」が節分用巻き寿司の普通名称とされた事件もあります。
登録商標の普通名称化を防止するには、
(1)その商標にマルアールや商標登録表示(「登録第○○○○○○号商標」)を付記する、
(2)その商品やサービスの一般名称と共に表示する、
(3)辞書に掲載された場合には、項目削除や登録商標である旨の説明の付加を求める、
等の方法がありますが、いずれも自主的にアクションを起こす必要があるものです。
一気に、爆発的にその商標が有名になったような場合に特にリスクが高いと言えますので、ご留意ください。
なお、商標登録後に関する当事務所へのご相談・お問い合わせは、以下のフォームより承っております。