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失敗事例5:指定商品の記載が適切でなかったことによる失敗

※ご注意:本ページでご紹介するのは、起こり得る失敗を想定した架空の事例です。
  実在の具体的な事例をご紹介するものではありません。以上をご了承の上、ご参照ください。


事例の紹介

X社は、中小企業であり、商標Cの商標登録を弁理士に依頼することにした。
だが、これまでに特許事務所との付き合いもなく、誰に依頼すればよいかわからなかったため、
インターネットで弁理士を探すことにした

その結果、あまり予算に余裕もなかったため、料金が格安の特許事務所に依頼することにした。
どのような弁理士が運営している事務所なのかよくわからなかったが、
「専門家なのだから問題ないだろう」ということで、そこで商標登録を進めてもらうことになった。
ただ、商標Cを使う商品について、あまり詳しく聞かれなかったのが少々気になった。

半年後、商標Cは無事に登録が認められた
X社は「これで安心」という気持ちで、ますます事業に力を入れていた。

ところがある日、X社に内容証明が届いた

中身を確認すると、同業のY社からのもので、
Y社は、商標Cについて商標登録を受けている。X社が商標Cを使用することは、
Y社の商標権を侵害する。直ちに使用を中止せよ
」という内容であった。

X社は、「商標Cについては自分たちこそが商標登録を受けている」、
「商標登録を依頼した弁理士による調査でも、使用の問題はないと言っていた」
と反論し、Y社の要求は言いがかりだと決めつけた。

しかし、心配だったので、念のため別の弁理士に相談をした。

すると、X社は的外れな指定商品について、商標Cの登録を受けていたことが判明した

その弁理士によれば、Y社はX社が商標Cを使用開始するずっと以前より、
X社の取り扱う商品を含む指定商品について商標登録を受けているから、
その要求は正当なものである
とのことだった。

つまりは、最初に商標登録を依頼した弁理士が、商品把握を誤ったのだろうということであった。
本当に必要となる眼目の商品が、指定商品に含まれていなかったのである。

X社は、泣く泣く商標Cの使用継続をあきらめ、その変更を余儀なくされた。
すでに製造していた多くの在庫は出荷できず、商品パッケージや商品カタログも修正する必要があり、
大量の出費が生じてしまった。商標登録にかけた費用も、まったくの無駄になってしまった・・・。



 教訓(当事務所からのアドバイス)

商標登録は受けていたものの、眼目商品について商標権を取り損ねていたという失敗の架空事例です。

当事務所ウェブサイトにおいて繰り返し述べていますが、
商標はただ登録を受ければ良いというものではなく、
適切な指定商品や指定役務について登録を受けてこそ意味があるものです

本事例の設定では多少おおげさにしてはいるものの、このように、「商標登録は受けていたけれど、
適切な指定商品や指定役務が含まれておらず、トラブルが生じた」という失敗談は、実際よく耳にします。

さて、本事例での失敗の要因は、出願時に商品検討を怠った最初の弁理士でしょう。
しかし、X社はY社から警告書が届いたことで、偶然これに気付けたと言っても過言ではありません。
何事もなく平穏であれば、X社は、自らの登録商標に不備があることを認識しないまま、
何年、何十年と過ごし、更新手続を繰り返していたかもしれません。

このように、「ただ発覚していないだけ」の欠陥商標登録が、
実は結構多く潜在しているのではないかということは、経験上、容易に予測されます。
弁理士に依頼をせずに、自力で商標登録をしたような場合には特に注意が必要です。

指定商品や指定役務の検討、選択、記載は商標登録のキモと言えます。
たとえ弁理士に依頼をした場合でも、依頼内容に誤解が生じていないか等を、
各自がしっかりと確認することは大切と言えるでしょう