Q5:他人のイラストを元にして、
別のキャラクター商標を考案してもOK?
ANSWER
元にしたイラストとの類似性の程度によるでしょう。
キャラクター商標の考案にしても、完全な「無」から作り出すことは不可能です。
イラストであれば、誰しも何らかの既存の著作物を参考にして腕を磨き、そこに自らの独自性を加えて自分のスタイルを確立する、というのが普通ではないでしょうか。
よって、ポイントは、「その考案したキャラクター商標の中に、元にした著作物の創作的な本質的特徴を感得できるか」という点になります。
たとえば、考案したキャラクター商標が、元にしたキャラクターイラストと同一であったり、多少変更を加えているけれども実質的に同一であると言った場合には、元のイラストの複製権侵害の問題となるでしょう。
また、実質的に同一とまでは言えないけれども、考案したキャラクター商標の中に、元にしたイラストの創作的な特徴を依然として見い出せるような場合には、元のイラストの翻案権や同一性保持権の侵害が問題となるでしょう。
一方で、考案したキャラクター商標が、元にしたキャラクターイラストとは著作物として別物と言えるのが明らかというレベルに至っていれば、二次的ではなく新たな創作物として、著作権の問題は生じません。
図形商標調査で他に問題がなければ、採用してよろしいかと思われます。
とはいえ、「似ている、似ていない」の判断は、どうしても主観的になりがちです。
類似性判断の際には、「なぜそこにその創作ポイントがあるのか」といった点を考えるとよろしいのではないかと思います。
たとえば、ネコのイラストの場合、これが擬人化されて二本足で立っている表現や、口元が「ω」のような形に表されていることは、表現手段としてありふれていると言えますので、これらの特徴が共通しているだけでは、類似性が強いとは言いにくいでしょう。
反対に、元にしたイラストのネコがタキシードを着ている場合、新しく考案したキャラクターでもネコがタキシードを着ており、かつ、全体的にも元のイラストと表情やポーズが似ているということであれば、類似性が肯定される一要素になるかと思われます。なぜなら、特別な事情がない限り、表現手段として、そこで「ネコがタキシードを着ている必要性」がないからです。
このような考え方は、相手方に対して論理的に類似性を追及する際にも使えますので、ご参考になればと思います。