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お医者さんのための商標登録

ドクターの写真

お医者さんには、内科、外科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、皮膚科など、様々な専門分野があります。お医者さんの行なう医療行為は、公益につながる尊いものです。

その一方で、医業にも「サービス業としての側面がある」と言わざるを得ません。
よって、ご自身の医療サービスを、他者のものと区別することが必要不可欠です。

そのために用いられる文字やマークなどの表示が、「商標」となります。
医業の場合、病院名やクリニック名、病院等のロゴマークなどが商標になり得ます。
ですから、お医者さんにとっても、商標をしっかり守っていくことは大切なのです。

そして、商標を適切に保護するためには、「商標登録」が役立ちます。

そこで本ページでは、病院、診療所(クリニック、医院)のお医者さんのための商標登録について、その役割や登録対象をご説明いたします。



1.商標登録とは?

まず、「商標登録」とはどのようなものでしょうか?

病院名クリニック名病院等のロゴマークなどの商標は、特許庁に申請をして、所定の審査をパスすることによって、「商標登録」を受けることができます。
※正確には、申請ではなく「出願」と言います。以下では、「出願」と表記します。

そして、商標登録を受けると、「商標権」という強力な権利が発生します。
商標権の効力については、「2.商標登録が大切な理由」でご説明いたします。

商標権の有効期間(存続期間)は、原則として登録日から10年間です。
ただし、更新登録申請の手続をすることで、さらに10年の権利の維持が可能です。
更新の手続は、何度も繰り返してすることができます。


2.商標登録が大切な理由

(1)商標登録のメリット

前述のように、商標登録をすると、「商標権」という権利を取得できます。

商標権があれば、権利の範囲内で、その商標を独占して使うことができます
また、権利の範囲内で、他人がその商標と同じ商標・似ている商標を無断で使っている場合には、これをやめさせることができます

商標権の効力は、日本全国に及びます。
また、現実の世界だけでなく、ネット上の使用行為に対しても有効です。

お医者さんの立場からすると、他のお医者さんと商標のことでもめるのは望まないでしょうし、そもそも多忙でそういった余裕もないと思います。ですので、商標トラブルの発生率としては、一般的な企業と比較すれば低いと言えるかもしれません。

しかし、インターネットで医療機関の名称を調べてみるとわかりますが、同じような病院名や、似たようなクリニック名は、意外と存在しているのが実状だと言えるのではないでしょうか。

もし、このために患者さんが混乱をしてしまい、間違って別の病院やクリニックに行ってしまったり、問い合わせをしてしまったりするようなことがあれば、何とかしなければなりません。そのまま放置すると、病院等の信用にも影響が出てしまいますし、集患・増患の観点からも望ましくないはずです。また、そもそもインターネット検索におけるSEOの観点からも、好ましくはないでしょう。

そのような場合に、商標登録をしておけばスムーズな解決が期待できると言えます。
少なくとも、相手側の経営者との交渉のきっかけは、作りやすくなると思われます。

なお、他人の商標権と抵触する範囲では、商標登録はできないことになっています。これを逆に言うと、商標登録をしておけば、少なくとも、その商標を使うことによって他人の商標権を侵害することは原則としてないことを実質的に意味します。

つまり、商標登録をしておけば、その商標の安全・安心な使用が確保できるのです。
他院とのトラブルがなくても、また、将来的に他院に何かアクションを起こすつもりがなくても、この点で商標登録をするメリットは心理的にも大きいと言えます。



(2)商標登録をしないリスク

たしかに、病院やクリニックが地域密着で運営されている限りは、商標のトラブルに巻き込まれる可能性は一般的には低いでしょう。そう考えると、商標登録の必要性も、あまり感じられないかもしれません。

しかし、商標登録をしていないと、その商標の使用が他人の商標権を侵害しているかもしれないというリスクが常につきまとうという点には、注意が必要です。

もし、商標権を侵害していた場合、先生方の病院が有名になったり、大きくなったりという大事なタイミングで、名称などの使用中止を求められる可能性も考えられます

また、商標権を侵害すると、損害賠償を求められる可能性もあります
他人の商標権を侵害した場合の責任は、決して甘くはないことに留意が必要です。

インターネットが普及した現在では、たとえ地域密着での運営であったとしても、ネット検索やホームページなどから、同じ病院名や、似たような医院名を他者が使用していることは簡単に判明するものです。「多分、大丈夫だろう」と楽観視するのは、危険だと言わざるをえません。

加えて、商標権の侵害が問題となる場合、その相手方が必ずしも同業者の医師であるとは限らないという点についても、忘れてはなりません。

このようなリスクがあることを考慮しますと、トラブル防止の保険という意味でも、商標登録が役に立つということをご理解いただけるのではないでしょうか。

なお、登録をしないリスクは、ここで述べたものだけではありません。詳細については、「商標登録をしないとどうなるのか」もご参照ください。


3.商標登録の対象になり得るもの

病院のイラスト

では、どのようなものが商標登録の対象になるのか、一例を見てみましょう。


(1)病院名などの医療機関の名称

病院名医院名クリニック名などの名称は、商標登録の対象となり得ます。

ただし、ありふれた名字や地域名と、「病院」「医院」「クリニック」等の語を組み合わせたような名称は、原則として商標登録を受けることはできないと考えられます。
こういった名称は、自他のサービスが区別できません(商標として機能し得ない)し、特定の人に使用を独占させるのも妥当ではないからです。

たとえば、「山田病院」、「佐藤医院」、「東京病院」、「横浜クリニック」等が、これに該当するでしょう。

しかし、実際には、一見このような名称に該当する場合でも、商標登録が認められているケースも見受けられます。具体的な基準は不明確と言えますが、地域性・造語性・意味の多様性を特に含む名称の場合は、商標登録が認められる場合もあります。

このあたりの検討が、医療機関の名称の商標登録では難しい点となります。
よって、まずは自分では登録可能性を判断せず、できれば後述のように、専門家である弁理士へのご相談をお勧めいたします。

他方、医療機関の名称が造語でユニークとなる場合には、商標登録を受けられる可能性が比較的高いと言えます。たとえば、架空の例ですが、「アスター内科クリニック」といったクリニックの名称であれば、ぜひとも出願をされることをお勧めいたします。


(2)病院等のロゴ図形、キャラクターの絵柄

近年は、多くの病院やクリニックが、オリジナルのロゴ図形(シンボルマーク)を採用しているのを見かけます。また、患者に安心感や親しみを抱いてもらえるように、オリジナルのマスコットキャラクターを作っているお医者さんもいるようです。

このようなロゴ図形やキャラクターの絵柄も、商標登録の対象となり得ます。

ロゴ図形(シンボルマーク)は、病院などの医療機関の名称と並べて、ロゴマークとして表示することが多いでしょう。このようなロゴマークを、1つの商標として登録しているケースも、実務上多く見られます

なお、キャラクターの絵柄については、「著作権」が発生しているのが通常です。
事前に権利関係をきちんと確認・処理することを忘れないようにしてください。


(3)オリジナルの商品・サービス・治療法の名称

最近では、クリニック等でオリジナル商品を販売しているケースもあるようです。
このような商品の名称も、商標登録の対象となり得ます
オリジナル商品を取り扱う場合には、一般的な企業とも競合になり得るでしょう。
この点で、商標登録をしておく意義は、より大きくなると言えるかもしれません。

また、あまり多くはないと思われますが、診療・検査・治療に関するオリジナルサービスを提供しているお医者さんも、中にはいらっしゃるかもしれません。
商品と同様に、このようなサービスの名称も、商標登録の対象となり得ます

さらに、「○○○療法」や、「○○○治療法」など、目新しい治療法を独自に開発する場合もあるかもしれません。
このような治療法の名称についても、商標登録の対象となる余地はあるでしょう。
ただ、一個人のお医者さんが関わるケースは、あまり多くないようにも思われます。

その他、ネット上のサイト名なども、商標登録の対象となる余地があります。


4.「早い者勝ち」のルールに注意!

早い者勝ちのイメージイラスト

「商標登録、そのうちやろうとは考えていて・・・。」

このようなお医者さんが、意外と多いようです。
ですが、毎日の仕事が多忙で、後回しになっていることがほとんどと思われます。

ここで、商標登録は「早い者勝ち」のルールであることには注意が必要です。
たとえ自分の方が先に使っていても、先に出願をした人に登録が認められるのです。

他人に先に商標登録されてしまった場合、当然、自分の登録はできなくなります。
また、引き続きその商標を無断で使い続ければ、商標権侵害となる可能性があります

ですから、実際のところ、商標登録は迷っている余裕はありません。
1日でも早い出願完了を目指すことが、とても大切になります。

近年、特許庁の審査結果が出るまでには、通常で約7か月程度がかかっています。
意外と時間がかかりますので、この点からも1日でも早い出願が重要です。

なお、特許庁のデータベースで医業分野の商標登録状況(2023年6月13日現在)を調べたところ、「○○○病院」は177件、「○○○医院」は59件、「○○○診療所」は22件、「○○○クリニック」は885件もありました。

医療機関の名称としてはその他のパターンも考えられますので、実際にはもっと多いでしょう。たとえば、クリニックの名称は「○○○ CLINIC」といったアルファベット表記の場合もありますから、さらに多いはずです。そう考えると、意外と多くの商標登録がされていることがわかります。

特に、クリニックの名称は近年登録数が急増しているため要注意です。3年前(2019年)の同様の調査では522件だったものが、すでに約1.7倍の数になっています。


5.商標登録をするためには?

それでは、商標登録をするには具体的にどうすれば良いのでしょうか。

まず、前述のように、特許庁に「出願」の手続をすることが必要となります。
そのためには、申請書となる「願書」を作成して、提出しなければなりません。

願書には、登録を受けたい商標と、商標を使用する商品やサービス等を記載します。
ここで記載したものが、商標権の権利範囲となりますので、慎重な検討が必要です

なお、これらの商品やサービスは、種類や用途等によって、45のグループ(区分)に分類されています。たとえば、商品「薬剤」は「第5類」の区分、商品「医療用機械器具」は「第10類」の区分、サービス「医業」は「第44類」の区分に分類されるといった具合です。そのため、願書には、この区分と、各区分に分類されている具体的な商品・サービスを併せて記載することになります。

商品・サービスの区分の数は、後述する費用算定の基準となります。

なお、1つの願書に含めることができる商標は1つだけです。
登録したい商標が複数ある場合は、その数ぶんの願書を作成する必要があります。

願書の提出は、特許庁の窓口に直接持参する、特許庁に郵送するといった方法がありますが、現在はインターネットを利用したオンライン出願が主流です。

その他、登録までの流れなどの詳細は、「商標登録とは?」もご覧ください。
また、「商標登録 よくあるQ&A」もご参考ください。


6.商標登録の費用

商標登録には、費用がかかります。
審査で引っかからずにスムーズに登録が認められた場合、(1)出願時(2)登録時の2回のタイミングで、特許庁への支払いが発生します。

料金の額は、願書に記載した商品・サービスの「区分の数」によって変動します。
すなわち、区分の数が増えれば増えるほど、料金が加算される仕組みです。

商標1件分の具体的な金額は、以下のようになります。

(1)出願時:  3,400円+(区分数×8,600円)
(2)登録時:  区分数×32,900円  ※10年分の登録料です。

たとえば、1区分の場合は、(1)出願時に12,000円、(2)登録時に32,900円が必要です。よって、商標登録(10年)には、最低でも44,900円が必要ということになります。

お医者さんに関する商標の場合、「医業」が含まれる第44類の区分を指定することですむ場合がほとんどです。よって、区分の数は「1つ」の場合が多いでしょう。

なお、特許事務所に依頼する場合(後述)には、これにサービス料金が加わります。
料金は特許事務所によって異なりますが、一般的には、最低でも7万~10万円程度が上記金額にプラスされることが多いようです。

また、審査で引っかかった場合等には、対応するにあたって、手続に応じた諸費用が発生する場合がありますので、ご留意ください。


7.弁理士(特許事務所)へのご依頼のすすめ

商標登録は、お医者さんご自身でも、出願から登録までの手続が可能です。
しかし、はっきり言って、そこまで簡単なものではありません。

願書の作成や手続方法は意外と煩雑ですし、特許庁から指令等が来た場合には適切に対応する必要があります。自力でやるには、それなりの時間と労力が必要です。
さすがに、毎日ご多忙のお医者さんには負担が大きいと考えられます。

自分でやった結果、本来であればできたはずの登録を逃すことも少なくありません。
また、登録まで完了できたとしても、願書の書き方をミスしていたり、制度を誤解していたりして、実質的に「意味のない商標登録」をしてしまうことも少なくありません
(不幸にも、当人はこれに気付いていないことがほとんどです。)

以上より、商標登録はやはり専門家である弁理士へのご依頼をお勧めいたします。
そして、弁理士の中でも、商標分野を専門とする弁理士へのご依頼がおすすめです。

最近は、特にネット上で、「弁理士のちがい」の見分け方が難しくなっています。
弁理士は商標を含む知財のプロですから、誰でも「商標の専門家」と名乗れます。
そのため、広告・宣伝でこのようなフレーズが使われることも少なくないようです。

しかし、弁理士にも主な専門分野や得意分野があるのが一般的です。
このあたりの事情は、まさにお医者さんと同じだと言えます。
商標のことなら、「商標専門医」と呼べるような弁理士への依頼が理想的でしょう。

ですから、弁理士に依頼をする場合は、担当弁理士の専門分野や実務経験などの経歴をしっかりとチェックした上で、お選びになることをお勧めいたします。少なくとも、料金の安さなどだけで安易に依頼先を選ぶようなことは、やめた方が良いでしょう。


当事務所がお手伝いできること

紫苑商標特許事務所では、商標登録のご依頼を承っております。
先生方に代わって、弁理士が出願準備から登録完了までの手続を遂行いたします。

当事務所は、商標専門の特許事務所です。
当事務所へのご依頼・ご相談はすべて、商標専門の弁理士として15年以上の実務経験を有する代表弁理士が担当させていただきます。
Eメールがご利用できる環境があれば、全国対応も可能です。

専門家に依頼することで、審査にパスできる可能性を高める申請書の作成や、商標を登録・使用する際の適確なアドバイスにご期待いただけます。
もちろん、時間や労力の節減にもつながります。

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