不動産会社(不動産業)のための商標登録
不動産業は、生活に必要な「衣食住」のうち、「住」にかかわる重要な事業です。
土地や建物に関するサービスを提供する不動産屋さんには、誰もが一度はお世話になったことがあるのではないでしょうか。
不動産業は、参入が比較的容易とも言われ、今後も規模の拡大が期待されます。
サービスの提供にあたって使われる、会社名、店舗名、サービス名、ロゴマークなどの「商標」は、他社との差別化をする上でも、ますます重要となるでしょう。
そして、このような商標を適切に保護するには、「商標登録」が有効です。
そこで、本ページでは、不動産取引・賃貸・管理などの不動産業について、商標登録をするための方法、申請書の記載の留意点などをご紹介いたします。
なお、本ページでは土地や建物に関する事業を対象としており、いわゆる駐車場業に関しては言及しておりませんので、予めご了承ください。
不動産業に関する商標登録の方法
不動産の取引・賃貸・管理など、不動産業のサービスに用いられる名称やロゴマークなどは、「商標」になり得ます。これらは、特許庁に申請して審査をパスすることで、「商標登録」を受けることができます。
商標登録を受けると、「商標権」という強力な権利を取得できます。
商標権があれば、権利の範囲内で、その商標を独占して使うことができます。他人が無断で使っている場合には、使用の中止や損害賠償を求めることも可能となります。
また、商標登録をすることで、その商標に「®」を付けることができます。
®は法律に定められたものではありませんが、この表示があることで、取引者や需要者の社会的信用をアップすることが期待できるでしょう。
このように、商標登録にはさまざまなメリットがあるのです。
ご参考:「商標登録をしないとどうなるのか」
商標登録の申請をするためには、申請書となる「願書」を特許庁に提出します。
これには、登録を受けたい商標と、商標を使用する商品やサービス等を記載します。
ここで記載したものが、商標権の権利範囲となりますので、慎重な検討が必要です。
なお、これらの商品やサービスは、種類や用途等から45のグループ(区分)に分類されています。つまり、願書には、この区分とそこに分類される具体的な商品・サービスを併せて記載することが必要となります。
商標登録には、費用が必要です。料金は、上述の区分の数によって変動します。
すなわち、区分の数が増えれば増えるほど、料金が加算される仕組みです。
なお、商標登録は「早い者勝ち」の制度であることに注意してください。
登録は、商標を使い始めた順ではなく、特許庁に申請した順に認められるルールです。
よって、他人が先にあなたと同じ商標や似ている商標を商標登録してしまうと、あなたは登録を受けることができなくなってしまいます。
それどころか、それ以降に商標を使い続ければ、商標権の侵害となってしまいます。
ですから、商標登録は、1日でも早く申請を完了することが大切です。
特許庁の審査が完了するまでには通常、約7~9ヶ月程度かかっています。
意外と時間がかかりますので、この点からも「1日でも早く!」が大切と言えます。
不動産は「商品」として記載できない点に注意!
さて、不動産業のサービスに用いられる名称やロゴマークについて商標登録を受けるには、「願書」を提出することが必要でした。これには、商標を使用する商品やサービス等を記載しますが、不動産業の商標登録については、一つ大きな注意点があります。
それは、「商標実務の世界では、不動産は「商品」にはならないと考えられている」のが一般的(通説)であるという点です。
商標実務の世界でいう「商品」とは、一般的に、独立して商取引の対象となる「流通性のある動産」と考えられていることがその理由です。
たしかに、戸建やマンションを購入する際には、感覚的には商品を買っているようにも感じます。しかし、土地や建物は、「流通性」がなく「動産」とも言えません。
よって、土地や建物の不動産は、商標登録の対象となる「商品」にはならないと解されます。そこで、不動産会社のマーク・店名やマンション名などの商標は、実務上、「建物の売買」などの「サービス」について使用する商標として、商標登録を受けることになります。
ところで、商標法には、実は「商品」の定義がありません。
したがって、法律上、不動産が「商品」にならないとされているわけではなく、今後、時代の流れとともに、一般的な考え方が変わる余地もあります。しかし、少なくとも、現在においては、特許庁に提出する願書に「建物」や「マンション」という商品を記載することは認められませんので、この点にはご注意ください。
なお、たとえば土地に定着する前の「プレハブ住宅の組立セット」は、「流通性のある動産」になりますので、「商品」になり得ます。願書に記載することも可能です。
不動産業に関するサービスの分類例
では、実際に願書に記載すべき不動産業に関するサービスの例を見てみましょう。
不動産業に関するサービスは、基本的に「第36類」に分類されています。
以下のサービスなどを指定役務として願書に記載しておけば、まず問題ないでしょう。
- 建物の管理
- 建物の貸借の代理又は媒介
- 建物の貸与
- 建物の売買
- 建物の売買の代理又は媒介
- 建物又は土地の鑑定評価
- 土地の管理
- 土地の貸借の代理又は媒介
- 土地の貸与
- 土地の売買
- 土地の売買の代理又は媒介
- 建物又は土地の情報の提供
- 建物又は土地の貸借に関する助言又はコンサルティング
- 建物及び土地の有効活用に関する企画・指導及び助言
また、不動産会社によっては、建物工事・リフォーム工事、建物の清掃や保守の業務等も、自社で行なっている場合があるかもしれません。商標の使い方にもよりますが、必要に応じて、「第37類」に分類される以下のサービスを加えても良いでしょう。
第37類- 建設工事
- リフォーム工事
- 建築物のリフォーム工事の仲介
- 室内のリフォーム工事
- 建築工事に関する助言
- 建築設備の運転・点検・整備
- 建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き
- 引越後の建物内外の清掃
- 火災報知器の修理又は保守
不動産事業に関するマネージメントやセミナー業務も行なっている場合には、以下のサービスなどを含めることも可能です。
第35類- 不動産事業における経営に関する助言及び指導
- 不動産事業の管理及びコンサルティング
第41類
- 土地・建物の有効利用に関するセミナーの企画・運営・開催
- 建物のリフォーム教室の企画・運営または開催
上記に挙げたものは、あくまで一例であることにご留意ください。
実際には、自社の業務内容等に応じて、モレのない記載を検討する必要があります。
上記に挙げられていないサービス等が、他の区分に分類されている場合もあります。
適切な商標権を取得できるように、願書の記載はくれぐれも慎重にお進めください。
※上記は、2017年7月現在の分類によります。また、サービスの表示は一例です。
なお、繰り返しになりますが、願書に含める区分の数が増えれば増えるほど、商標登録にかかる料金は高額となることにご注意ください。
予算に余裕があれば、他人による商標登録を防止するためにも、関連サービス全てを願書に含めるのが理想的です。ですが、一般的には、眼目のサービスとなる第36類を基本として、必要に応じた区分のサービスを追加する形になるかと思います。
どのような区分を含めるのが良いのかについては、初めての場合は特にわかりにくいと思います。専門家である弁理士に、まずはご相談されることをオススメいたします。
当事務所がお手伝いできること
紫苑商標特許事務所では、商標登録のご依頼を承っております。
弁理士が皆様に代わって、申請準備から登録までの手続を遂行いたします。
当事務所は、商標専門の特許事務所です。
商標実務歴15年以上の代表弁理士が、ご依頼等を丁寧に担当させていただきます。
Eメールがご利用できる環境があれば、全国対応が可能です。
専門家に依頼することで、審査にパスできる可能性を高める申請書の作成や、商標を登録・使用する際の的確なアドバイスなどにご期待いただけます。
もちろん、貴社の時間や労力の節減にもつながります。
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