化粧品・コスメ・トイレタリーの商標登録
化粧品は、人の体を清潔にし、見た目を美しくするものです。
化粧品・コスメの主な需要者層は女性と言えますが、最近では、「男性用化粧品」も、めずらしくなくなりました。人々の生活の中に、なくてはならない商品群と言えます。
一方で、化粧品は、使用によって人の健康状態に影響を与え得る商品です。
他社が品質の悪い商品に自社の商品と紛らわしい名称を使ったり、自社商品と同じ名称の粗悪品が輸入・販売されるようなことは、絶対に阻止しなければなりません。
そのためには、商品名などの「商標」をしっかりと保護する必要があります。
商標を適切に保護するためには、「商標登録」が有効です。
ですから、化粧品・コスメ・トイレタリーについては、商標登録が特に重要な商品分野であると言っても、過言ではないでしょう。
ご参考:「商標登録をしないとどうなるのか」
そこで本ページでは、化粧品・コスメ・トイレタリーの商標登録をするための方法、願書に記載する商品の表記例などをご紹介いたします。
なお、医薬品や医療機器については「医薬品・医薬部外品・医療機器の商標登録」をご参照ください。
1.商標登録とは?
「商標」とは、商品やサービスの識別標識のことを言います。
商標を構成する要素は、主に「文字」や「図形」と言えば、わかりやすいと思います。
化粧品・コスメ・トイレタリーの分野では、以下のようなものが商標になり得ます。
※下記はあくまで、商標になり得るものの一例です。
2.ロゴマーク(シンボルマーク)
3.会社名(コーポレートブランド)
これらの商標は、特許庁に登録の申請(※正確には「出願」と言いますが、本ページではわかりやすさを優先して、以下「申請」と表記します)をして所定の審査にパスすることで、「商標登録」を受けることができます。
そして、商標登録を受けると、「商標権」という強力な権利が発生します。
商標権があれば、権利の範囲内で、その商標を独占して使うことができます。
また、他人の無断使用に対しては、使用の中止や損害賠償を求めることも可能です。
商標登録のメリットは、他にもいろいろとあります。
化粧品等の分野では、「ブランド構築」の観点からも、大いに役立つことでしょう。
なお、商標登録の有効期限(商標権の存続期間)は原則、登録日から10年です。
ただし、更新手続をすることで、さらに10年の維持が可能です。※何度でも更新可能
2.商標登録をするためには?
商標登録の申請をするには、申請書となる「願書」を特許庁に提出します。
願書には、登録を受けたい商標と、商標を使用する商品やサービス等を記載します。
商標登録は、商標と商品・サービスをセットで行なうというイメージです。
ここで記載する商品やサービスは、種類や用途などによって、45のグループ(区分)に分類されています。そのため、願書には、この区分とそこに分類されている具体的な商品・サービスを併せて記載することが必要です。
なお、商標登録をするためには、費用がかかります。
料金の額は、願書に記載する区分の数によって変動します。
つまり、区分の数が増えれば増えるほど、料金が加算される仕組みなのです。
むやみに権利範囲を広くしようとすると、記載する区分が増えて、かかる費用が膨大となってしまうため注意が必要です。
また、商標登録は「早い者勝ち」の制度であることに、特に注意してください。
登録は、商標を先に使い始めた順ではなく、特許庁に申請した順に認められます。
よって、他社(他人)が先に貴社と同じ商標や似ている商標を商標登録してしまうと、貴社は登録を受けることはできません。
それどころか、それ以降に商標を使い続ければ、商標権の侵害となってしまいます。
ですから、商標登録は、1日でも早く申請を完了することが大切です。
なお、特許庁の審査が完了するまでには通常、約7~9ヶ月程度かかっています。
意外と時間がかかりますので、この点からも「1日でも早く!」が大切と言えます。
3.化粧品・コスメ・トイレタリーの商品分類
それでは、化粧品・コスメ・トイレタリーに関する商品・サービスを願書に記載する際の分類(区分)を見てみましょう。
化粧品や、シャンプー・せっけん類などの洗浄剤のうち、医薬品でないものの多くは「第3類」の区分に分類されます。
一方で、医薬品となるものや、医療用化粧品は、原則として「第5類」となります。
「香水」や「つけづめ」も第3類に分類されますが、「カラーコンタクトレンズ」は第9類になります。
以下は、第3類に分類される商品の一例です。
※()内は、商品・サービスの類似関係を意味するコード(類似群コード)です。
「類似群コードとは?」
- 香水
- オーデコロン
頭髪用化粧品
- シャンプー(04A01)
- ヘアーリンス
- ヘアートリートメント
- 整髪料
- 染毛剤
- ヘアカラー剤
皮膚用化粧品
- 洗顔せっけん
- クリーム状の洗顔せっけん
- 化粧水
- 乳液
- 肌用乳液
- 美容液
- クレンジングクリーム
- クレンジングオイル
- ハンドクリーム
- 洗顔フォーム
- 化粧用洗顔剤
仕上用化粧品
- ファンデーション
- 口紅
- リップグロス
- リップクリーム
- アイメイク用化粧品
- アイシャドウ
- マスカラ
- 頬紅
- マニキュア
ネイル関係
- つけづめ(21F01)
- つけづめ用接着剤(01A02)
- つけづめ用洗浄液(04A01)
- つけづめ用剥離剤 (04C01)
- 付け爪装飾用のシール(21F01)
その他
- 歯磨き(04B01)
- せっけん類(04A01)
- 日焼けクリーム
- 日焼けローション
- 日焼け止めクリーム
- 日焼け止めローション
- ひげそり化粧水
- シェービングオイル
- シェービングフォーム
また、第3類以外でも、関連する商品・サービスとして以下の例があります。
どの商品やサービスを保護する必要性が高いのかを、しっかり検討しましょう。
- 第1類 化粧品原料用コラーゲン(01A01)
- 第1類 化粧品の製造に用いられる化学品(01A01)
- 第21類 化粧品入れ(21F01)
- 第21類 化粧用具(11A07 21F01)
- 第21類 化粧落とし器 (09E25 11A07 21F01)
- 第21類 ガラス製包装用化粧品用容器(18C02)
- 第35類 化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(04A01 04B01 04C01 35K10)
- 第35類 化粧品及びせっけん類の販売に関する情報の提供(35B01)
- 第35類 香料・化粧品・美容用品及び化粧用品の分野における市場調査(35B01)
- 第40類 化粧品用粉末の加工(40H99)
- 第40類 受託によるせっけん類・化粧品・香料類の製造・調合並びにこれらに関する助言・情報の提供(40H99)
- 第41類 化粧方法及び化粧品に関する知識の教授(41A01)
- 第41類 化粧方法及び化粧品に関する講演会・セミナーの企画・運営又は開催(41A03)
- 第42類 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究(42Q01)
- 第44類 化粧品の選択に関するコンサルティング(42C01)
- 第44類 化粧品の選択又は使用法に関する指導及び助言(42C01)
- 第44類 化粧品を使用した美容(42C01)
※注:上記の商品・サービスは、あくまで一例です。
上記は2017年6月現在の情報に基づくものです。今後、商品・サービスの分類や記載の可否が変更となる可能性がありますので、あらためて各自でご確認願います。
4.「せっけん類」か「化粧品」かに注意!
上述のように、「せっけん類」、「化粧品」は、ともに第3類に分類されています。
しかし、上記リストを見ると、これらに付けられた類似群コードは異なっています。
すなわち、「せっけん類」には「04A01」のコードが付けられ、「化粧品」には「04C01」のコードが付けられています。
これは、どういうことを意味するのでしょうか?
商標実務では、類似群コードが異なれば、原則として非類似の商品と扱われます。
そして、商標権の効力は、非類似の商品までには及ばないのが原則です。
つまり、仮に「せっけん類」だけに商標登録を受けても、商標権によって「化粧品」を保護することはできませんし、「化粧品」だけに商標登録を受けても、「せっけん類」までのカバーはできない、ということになるのです。
具体的に見てみましょう。たとえば、「クリーム状の洗顔せっけん」は「04A01」になる一方で、「クレンジングクリーム」は「04C01」になります。
また、「シェービング用せっけん」や「シェービングソープ」は「04A01」になる一方で、「ひげそり化粧水」、「シェービングオイル」、「シェービングフォーム」、「シェービングローション」は「04C01」になります。
ちなみに、類似群コードだけを見ると、「シャンプー」は「04A01」であるのに、「ヘアーリンス」や「ヘアートリートメント」は「04C01」となっています※1。
このように、用途や効用が似たような商品であるにもかかわらず、別の類似群コードが付けられている場合があります。商標登録をする際には、保護のもれがないように、必要に応じて、願書には「せっけん類」と「化粧品」の両方を記載しておくとよいでしょう。
※1:実務上は、「シャンプー」と「ヘアーリンス」は、類似群コードが異なるものの「類似の商品と推定する」という取り扱いがされています(備考類似)。
5.「医療用」のものや「薬剤」は第5類に分類
上述のように、第3類には「せっけん類」や「化粧品」などの商品が含まれますが、同じような商品でも、「医療用」のものや「薬剤」は、第5類に分類されることに注意が必要です。
たとえば、「医療用せっけん」や「医療用化粧品」は第5類(01B01)に分類されています。少しややこしい例として、「制汗用化粧品」(04C01)や「制汗用せっけん」(04A01)は第3類、「制汗剤」(01B01)は第5類ということになります。
これら第3類、5類の商品についても、異なる類似群コードが付けられているため、原則として、非類似の商品ということになります。つまり、一方のみに商標登録を受けても、他方まで商標権による保護は原則として及ばないと解されるということです。
上記の制汗商品の例なら、上記すべての商品を確実に商標権で保護しようとすれば、第3類と第5類のそれぞれの商品を願書に記載する必要があるということになります。
実務上の留意点・テクニックとして、ご参考ください。
当事務所がお手伝いできること
当事務所では、商標登録のご依頼を承っております。
皆様に代わって、弁理士が申請準備から登録までの手続を遂行いたします。
当事務所の弁理士は、化粧品やトイレタリーの分野で、多くの実務経験があります。
当事務所は、商標専門の特許事務所です。
商標実務歴15年以上の代表弁理士が、ご依頼等を担当させていただきます。
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もちろん、貴社の時間や労力の節減にもつながります。
化粧品・コスメ・トイレタリーに関する商標登録においては、願書の記載方法など、
特に慎重な検討や精査が必要となる分野であると考えられます。
自分でやって「失敗した!」とならないよう、専門家へのご依頼をぜひご検討下さい。
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