保育園・幼稚園の商標登録
保育園・幼稚園は、ともに重要な施設です。
保育園は「児童福祉施設」、幼稚園は「教育施設」という違いはありますが、
子どもたちの心身を育むという点で共通しており、大きな役割を果たしています。
最近では、保育園の不足が社会問題にもなっており、今後の増加が期待されます。
このような保育園や幼稚園にも、実は「商標」との関わりがあります。
たとえば、保育園・幼稚園の名称やロゴマークは、商標になり得ます。
これらの事業内容をサービスと言うべきかは議論のあるところです。
しかし、いずれも事業としての経営が必要となることは確かでしょう。
したがって、保育園や幼稚園の経営者の方が、商標を守るための方法、
すなわち、「商標登録」について知っておくことは決して無駄にはなりません。
そこで本ページでは、保育園や幼稚園に関する商標登録について、その効果や方法などをご紹介いたします。
1.商標登録とは何か?
商品名・サービス名・会社名・店舗名・ロゴマークなど、自分と他人の商品やサービスを識別できる標識は、「商標」になり得ます。
このような「商標」は、特許庁に申請をして、所定の審査をパスすることによって、「商標登録」をすることができます。
2019年7月4日現在にて確認できるところによれば、「〇〇〇保育園」が149件、「〇〇〇幼稚園」が73件、「〇〇〇こども園」が14件、商標登録または商標登録申請がされているようです。
2.商標登録のメリットとは?
商標登録は、事業で商標を使うための義務というわけではありません。
ですが、商標登録には事業を有利にする大きなメリットがあります。
まず、商標登録によって、「商標権」という強力な権利を取得できます。
商標権があれば、権利の範囲内で、その商標の使用を独占することができます。
また、他人が無断で使っている場合には、差止めや損害賠償を求めることも可能です。
たとえば、他社があなたの経営する保育園・幼稚園と紛らわしい名称やロゴマークを使って施設を提供した場合、需要者は同一グループの施設であると混同する可能性があるのではないでしょうか。これを放置すれば、あなたの保育園・幼稚園はもちろん、需要者にも不利益を与え続けることになりますから、何とかやめさせる必要があります。
このような場合に、商標権があれば、相手に故意悪意があるかどうかにかかわらず、紛らわしい名称やロゴマークの使用をやめさせることができるのです。
また、商標登録をすることで、その商標に「®」を付けることができます。
®は法律に定められたものではありませんが、この表示があることで、取引者や需要者の社会的な信用や安心感をアップすることが期待できるでしょう。
このように、商標登録にはさまざまなメリットがあるのです。
ご参考:「商標登録をしないとどうなるのか」
3.保育園・幼稚園の商標とは?
商標とは、自分と他人の商品やサービスを識別できる標識のことをいいます。
よって、主に、文字や図形(マーク)、これらの結合が商標となります。
また、キャラクターイラストも、商標になり得ます。
それでは、保育園・幼稚園の商標には、どのようなものが考えられるでしょうか。
まずは、保育園・幼稚園の名称が考えられるでしょう。
また、多くの施設ではオリジナルのロゴマークを採用していると思われますが、このようなロゴマークも商標になります。
実際あまりないかもしれませんが、その保育園・幼稚園の独自のサービスについて、サービス名があれば、それが商標となり得る場合もあるでしょう。
オリジナルのキャラクターイラストも、使い方によっては商標になり得ます。
4.商標登録の方法とは?
商標登録の申請をするためには、申請書となる「願書」を特許庁に提出します。
願書には、登録を受けたい商標と、商標を使用する商品やサービス等を記載します。
ここで記載したものが、商標権の権利範囲となりますので、慎重な検討が必要です。
なお、これらの商品やサービスは、種類や用途等から45のグループ(区分)に分類されています。たとえば、書籍は第16類、被服は第25類、玩具類は第28類、といった具合です。願書には、この区分とそこに分類される具体的な商品・サービスを併せて記載することが必要となります。
また、商標登録は「早い者勝ち」の制度であることに注意が必要です。
登録は、商標を使い始めた順ではなく、特許庁に申請した順に認められるルールです。
よって、他人が先にあなたと同じ商標や似ている商標を商標登録してしまうと、あなたは登録を受けることができなくなってしまいます。
それどころか、それ以降に商標を使い続ければ、商標権の侵害となってしまいます。
ですから、商標登録は、1日でも早く申請を完了することが大切です。
ちなみに、特許庁の審査結果が出るまでには通常、約7~9ヶ月がかかっています。
意外と時間がかかりますので、この点からも「1日でも早い」申請が大切と言えます。
5.商標登録に費用はかかる?
商標登録には、費用がかかります。
審査で引っかからずにスムーズに登録が認められた場合、(1)申請時、(2)登録時の2回のタイミングで支払いが発生します。
料金の額は、上述の区分の数によって変動します。
すなわち、区分の数が増えれば増えるほど、料金が加算される仕組みです。
具体的な金額は、以下のようになります。
(2)登録時: 区分数×32,900円 ※10年分の登録料です。
たとえば、1区分の場合は、(1)申請時に12,000円、(2)登録時に32,900円が必要です。よって、商標登録(10年)には、最低でも44,900円が必要ということになります。
なお、特許事務所に依頼する場合には、これにサービス料金が加わります。
料金は特許事務所によって異なりますが、一般的には、最低でも7万~10万円程度が上記金額にプラスされることが多いようです。
また、審査で引っかかった場合等には、対応するにあたって、手続に応じた諸費用が発生する場合がありますので、ご留意ください。
6.願書に記載すべきサービスとは?
それでは、実際に商標登録の申請をする場合、願書にはどのような商品・サービスを記載することが考えられるでしょうか。
まず、保育園の場合は、第43類の「保育所における乳幼児の保育」などをメインに指定することが多いようです。一方、幼稚園の場合は、第41類の「幼稚園における教育」などをメインに指定することが多いです。
これらの違いは、「児童福祉施設」と「教育施設」の違いによるものと思われます。
ただ、特に幼稚園では「保育」と「教育」のボーダーは微妙なようにも思われます。
したがって、第41類と第43類の両方を指定するケースも実際には見受けられます。
なお、「こども園」の場合は、このように両方を指定するケースが多いようです。
参考までに、保育園・幼稚園の商標登録に関連があると思われるサービスの一例を、区分ごとに以下に紹介いたします。
① 第35類- 保育所・託児所或いは幼稚園の事業に関する診断及び指導
- 保育所及び託児施設の提供に係る事業の管理又は運営
- 保育所・託児所或いは幼稚園の経営の代行
- 保育所・託児所又は幼稚園の事業に関する情報の提供
- 保育士のあっせん
- 保育士の紹介
- 幼稚園教諭のあっせん
第35類には、(対企業向けの)事業や経営に関する管理・コンサルといったサービスなどが含まれます。フランチャイズ展開をする場合などに、要検討となるでしょう。
② 第41類- 幼稚園における教育
- 幼稚園における教授
- 幼児教育
- 保育・育児に関する知識の教授及びこれに関する情報の提供
- 保育に関するセミナー・講演会の企画・運営又は開催
第41類には、教育やセミナーの企画・開催といったサービスなどが含まれます。
③ 第43類- 保育所における乳幼児の保育
- 保育所または託児所における乳幼児の保育
- 託児所又は保育所における乳幼児の保育に関する指導又は助言
- 保育所又は託児所における乳幼児の保育に関する情報の提供
- 保育所の提供
- 託児施設の提供
- 保育所の紹介又は取次ぎ
- 保育施設の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供
- 保育所の予約状況に関する情報の提供
第43類には、保育や保育施設の提供といったサービスなどが含まれます。
④ 第45類- 乳幼児の保育(施設において提供されるものを除く。)
- 乳幼児の在宅保育
- イベント会場で行われる乳幼児の一時預かり
- ベビーシッター
- ベビーシッターに関する情報の提供
第45類には、在宅保育やベビーシッター等、施設外の保育サービスが含まれます。
事業内容によっては、願書への記載を検討する余地があるでしょう。
願書には、事業内容に適した商品・サービスをモレなく記載することが重要です。
どのような区分を含めるのが良いのかについては、初めての場合は特にわかりにくいと思います。商標登録は、専門家である弁理士へのご依頼をオススメいたします。
※注:上記のサービスの表記はあくまで一例です。
上記は2019年7月現在の情報に基づくものです。今後、商品・サービスの分類や記載の可否が変更となる可能性がありますので、あらためて各自でご確認願います。
当事務所がお手伝いできること
当事務所では、弁理士が商標登録のご依頼を承っております。
皆様に代わって、申請準備から登録までの手続を専門家がお進めいたします。
当事務所は、商標専門の特許事務所です。
商標実務歴15年以上の代表弁理士が、ご依頼等を丁寧に担当させていただきます。
Eメールがご利用できる環境があれば、全国対応が可能です。
専門家に依頼することで、審査にパスできる可能性を高める申請書の作成や、商標を登録・使用する際の適確なアドバイスにご期待いただけます。
もちろん、貴社の時間や労力の節減にもつながります。
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