ベビー用品・ベビー服(子供服)の商標登録
ベビー用品やベビー服(子供服)は、子育てに欠かせないものです。
大切な赤ちゃんのためにも、安全で高品質な商品が求められます。
このような商品には、一般的に「商標」が使われています。
たとえば、ベビー用品の商品名、ベビー服のメーカー名やロゴマーク、ベビーカーや知育玩具の通販に関するウェブサイト名などは、商標になり得ます。
ベビー用品やベビー服などに関する商標を適切に保護することによって、事業者自身の信用と利益を守ることができます。また、需要者が商品を取り違えるなどの不利益を防止することにもつながります。
そして、商標を保護するために役立つのが「商標登録」です。
そこで本ページでは、ベビー用品やベビー服などに関する商標の商標登録について、その意義や方法などをご紹介いたします。
なお、保育園における保育・育児サービスや、幼稚園における教育サービスに関する商標登録については、「保育園・幼稚園の商標登録」をご参照ください。
1.「商標登録」とは?
商品名・サービス名・会社名・店舗名・ロゴマークなど、自分と他人の商品やサービスを識別できる標識は、「商標」になり得ます。
よって、たとえば、ベビー用品の商品名、ベビー服のメーカー名やロゴマーク、ベビーカーや知育玩具の通販に関するウェブサイト名などは、「商標」になり得ます。
このような「商標」は、特許庁に申請をして、所定の審査をパスすることによって、「商標登録」をすることができます。
そして、商標登録によって、「商標権」という強力な権利を取得できます。
商標権があれば、権利の範囲内で、その商標の使用を独占することができます。
また、他人が無断で使っている場合には、差止めや損害賠償を求めることも可能です。
他人が同じ商標を使っている場合だけでなく、似ている商標を使っている場合も、商標権の効力が及びます。(※ただし、実際には商品・サービスの共通性も考慮されます)
たとえば、他社が貴社の手がけるベビー用品と紛らわしい商品名で同種の商品を販売していた場合、商標権があれば、その商品名の使用中止を求めることができるのです。
商標権の行使は、相手の故意・悪意の有無を問いませんので、非常に強力です。
また、商標登録をすることで、その商標に「®」を付けることができます。
®は法律に定められたものではありませんが、この表示があることで、取引者や需要者の社会的な信用や安心感をアップすることが期待できるでしょう。
このように、商標登録にはさまざまなメリットがあるのです。
2.商標登録をしないリスクとは?
商標登録は、事業者の義務ではありません。
あくまで任意の自由な意思によるものです。
しかし、商標登録をしていないと、予想以上の事業リスクが内在することになります。
たとえば、以下の3つのリスクが考えられます。
(2)他社による商標のマネや模倣に対抗できない
(3)他社に先に商標登録をされるおそれがある
商標登録をすると、その商標の独占使用が認められます。
また、商標登録は、他人の商標権が及ぶ範囲では、原則として認められません。
これを逆に言えば、自分の商標の商標登録が認められたということは、その商標をそのままの態様で使う限り、他人の商標権を侵害することはないことを意味します。
つまり、商標登録によって、商標の安全・安心な使用が、実質的に保証されることになるのです。これは、事業を継続するにあたって非常に大きなメリットと言えます。
一方で、商標登録をしていない場合は、使用の安全性が確保できていない状態です。
自社がベビー用品の商品名として使っている商標が、実は他社の商標権を侵害しているかもしれず、ある日突然、差止め請求や損害賠償請求をされる可能性もあるのです。
商標登録をしていないと、常にリスクを抱えたまま、事業を継続していかなければならないことになります。
(2)他社による商標のマネや模倣に対抗できない
もし、商標登録をしていなければ、他社が貴社の商品名と似ている名称を同種の商品に使っていても、基本的に対抗する手段がありません。
これを放置しますと、需要者が他社の商品を取り違えて購入する可能性があります。そして、その商品の品質が悪ければ、貴社の評判や信用にも影響が出ること必至です。また、貴社の商品の人気に便乗するような形で、その他社は利益を得ることができ、貴社はその分の不利益を受けることになってしまいます。
模倣品が出されてしまうと、さらに深刻です。
商標登録をしていないと、同じ商品名でベビー服やベビーカーの模倣品が流通していても、ただちにこれを阻止することが困難となります。
商標登録をしていないと、他社からの不正行為や嫌がらせ行為を受けた際に、すぐに適切な対抗手段を取るのが難しいというリスクがあるのです。
(3)他社に商標登録をされるおそれがある
商標登録は、「早い者勝ち」のシステムです。
いくら自分が先に使っていた商標だとしても、原則として、特許庁に申請をした順に、登録が認められます。
つまり、商標登録をしていないと、いつ他の第三者に同じ商標を申請され、商標登録されてしまってもおかしくないのです。
当然、他社が先に商標登録をすれば、貴社は商標登録できないことになります。
また、それ以降、その商標を貴社が使う行為は商標権侵害となってしまいます。
こうなるともはや、貴社は登録も使用もすることができない状況となります。
理不尽に思えますが、「商標登録をしようと思えばできたのに、怠った方が悪い。」というのが、特許庁の考え方です。
たまたまの場合も、悪意がある場合もあるでしょうが、商標登録をしていなければ、他社に「横取り登録」をされてしまうリスクがあることに注意しなければなりません。
なお、上記リスクの詳細は以下のコンテンツもご参照ください。
ご参考:「商標登録をしないとどうなるのか」
3.商標登録の方法
商標登録の申請をするためには、申請書となる「願書」を特許庁に提出します。
願書には、登録を受けたい商標と、商標を使用する商品やサービス等を記載します。
ここで記載したものが、商標権の権利範囲となりますので、慎重な検討が必要です。
なお、これらの商品やサービスは、種類や用途等から45のグループ(区分)に分類されています。たとえば、化粧品は第3類、薬剤は第5類、文房具は第16類、といった具合です。願書には、この区分とそれらに分類される具体的な商品・サービスを併せて記載することが必要となります。
上述のように、商標登録は「早い者勝ち」の制度であることに注意が必要です。
そのため、商標登録は、1日でも早く申請を完了することが大切です。
ちなみに、特許庁の審査結果が出るまでには通常、約7~9ヶ月がかかります。
意外と時間がかかりますので、この点からも「1日でも早い」申請が大切と言えます。
4.願書に記載する商品の一例
それでは、実際に商標登録の申請をする場合、願書にはどのような商品・サービスを記載することが考えられるでしょうか。
ベビー服(子供服)・パジャマ・下着や、ベビー用の帽子・靴・靴下などの「被服、履物、帽子」類は、基本的に「第25類」を指定することになります。
ベビー用品については、用途や種類によって様々な区分に分類されます。
たとえば、以下のような区分に分類されています。
- 乳児用シャンプー
- 乳児用せっけん類
- ベビーパウダー(医療用のものを除く。)
- ベビーオイル(医療用のものを除く。)
- ベビーローション
第3類には、シャンプーやせっけん、化粧品関連の商品が含まれます。
ただし、医療用のものは、第5類に分類されます。
- 乳児用食品
- 乳児用離乳食
- 乳児用飲料
- 乳児用粉ミルク
- おむつ
- 紙おむつ
- おむつカバー
- 授乳パッド
第5類には、乳児用食品や乳児用飲料、おむつなどが含まれます。
③ 第10類- 乳児用おしゃぶり
- 哺乳瓶
- 哺乳瓶用乳首
第10類には、おしゃぶりや哺乳瓶などが含まれます。
④ 第12類- ベビーカー
- ベビーカー用カバー
- ベビーカー用日よけ
- チャイルドシート
第12類には、ベビーカーやチャイルドシートが含まれます。
⑤ 第16類- 乳児用紙製おしり拭き
- 紙製よだれかけ
第16類には、紙製の商品が含まれます。
なお、「布製のよだれかけ」は第25類に分類されます。
- ベビーキャリー
- 袋型ベビーキャリー
- 乳幼児用背負い袋
⑦ 第20類
- 乳児用ベッド
- ベビーベッド
- 揺りかご
- 乳児用ゆりかご
- 乳児の頭のサポート用クッション
- 授乳用まくら
- ベビーサークル
- 乳児用家具
- ベビー用椅子
第20類には、ベビーベッドなど、ベビー用の家具類が含まれます。
⑧ 第21類- ベビーバス(持ち運びできるもの)
- 空気注入式の乳児用浴槽
- 携帯用ベビーバススタンド
- 乳児用歯ブラシ
- ベビーおまる
- 食器類
第21類には、ベビーバス、歯ブラシ、おまる、食器類などが含まれます。
⑨ 第24類- 乳児用布団
- 乳児用おくるみ
⑩ 第25類
- ベビー服
- 乳児用寝巻き
- ベビードールパジャマ
- 肌着
- 乳児用下着
- ベビー靴
- 乳児用の履物
- 靴下
- 布製ベビー用よだれかけ
- 乳児・幼児用帽子
第25類には、ベビー服(子供服)のほか、ベビー用の履物・帽子、布製よだれかけ(※「紙製よだれかけ」は第16類)なども含まれます。
⑪ 第28類- 乳児用おもちゃ
- 知育玩具
- ぬいぐるみ
- 赤ちゃん用がらがら
- ベビージム
第28類には、玩具(おもちゃ)類が含まれます。
⑫ その他その他、必要に応じて、自己の事業内容に適した商品・サービスを指定しましょう。
たとえば、ベビー服の小売店の店舗名や、ベビー用品の通販に関するウェブサイト名の商標の場合は、第35類の「小売・卸売関連サービス」の指定を検討します。
願書には、事業内容に適した商品・サービスをモレなく記載することが重要です。
どのような区分を含めると良いのか、初めての場合は特にわかりにくいと思います。商標登録は、やはり専門家である弁理士へのご依頼をオススメいたします。
※注:上記の商品の表記はあくまで一例です。
上記は2019年9月現在の情報に基づくものです。今後、商品・サービスの分類や記載の可否が変更となる可能性がありますので、あらためて各自でご確認願います。
5.商標登録にかかる費用は?
商標登録には、費用がかかります。
審査で引っかからずにスムーズに登録が認められた場合、(1)申請時、(2)登録時の2回のタイミングで支払いが発生します。
料金の額は、上述の区分の数によって変動します。
すなわち、区分の数が増えれば増えるほど、料金が加算される仕組みです。
具体的な金額は、以下のようになります。
(2)登録時: 区分数×32,900円 ※10年分の登録料です。
たとえば、1区分の場合は、(1)申請時に12,000円、(2)登録時に32,900円が必要です。よって、商標登録(10年)には、最低でも44,900円が必要ということになります。
ベビー用品は様々な区分に分類されていますので、取扱品目が多いと、費用が比較的高くなることが予想されます。
なお、特許事務所に依頼する場合には、これにサービス料金が加わります。
料金は特許事務所によって異なりますが、一般的には、最低でも7万~10万円程度が上記金額にプラスされることが多いようです。
また、審査で引っかかった場合等には、対応するにあたって、手続に応じた諸費用が発生する場合がありますので、ご留意ください。
当事務所がお手伝いできること
紫苑商標特許事務所では、商標登録のご依頼を承っております。
皆様に代わって、弁理士が申請準備から登録完了までの手続を遂行いたします。
当事務所は、商標専門の特許事務所です。
商標を専門とする代表弁理士が、すべてのご依頼等を丁寧に担当させていただきます。
Eメールがご利用できる環境があれば、全国対応が可能です。
専門家に依頼することで、審査にパスできる可能性を高める申請書の作成や、商標を登録・使用する際の適確なアドバイスにご期待いただけます。
もちろん、貴社の時間や労力の節減にもつながります。
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