商標審査基準の改訂(改訂第16版)
<新着ニュース> 2024年3月26日
この度、令和5年法改正の内容の一部が、2024年4月1日に施行されます。
これにより、商標実務の分野では、主に「コンセント制度の導入」と「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」が開始されることになります。
特許庁では、これらに対応するため、「商標審査基準」が改訂されました。
今回の改訂により、「改訂第16版」となります。
改訂された審査基準は、2024年4月1日以降の出願に適用されます。
業界内では、大きな話題になった法改正ではありますが、正直なところ、ほとんどの中小企業等の事業者にとっては、あまり関係のない話だと言えるかもしれません。ただ、「コンセント制度」については、商標登録をしている事業者に対して、いつどこで相手方からの打診や交渉があるかわかりませんので、制度の概要を知っておくことは有効と思われます。
そこで、今回の商標審査基準の改訂ポイントを見ていきたいと思います。
なお、「コンセント制度の導入」と「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」の内容の詳細については、以下の特許庁のウェブサイトに解説がありますので、ご参照ください。
■「コンセント制度の導入」
■「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されます」
1.改訂のポイント
特許庁のウェブサイトによれば、今回の商標審査基準の改訂ポイントとして、以下のように挙げられています。
第4条第4項の新設に伴い、第4条第1項第11号に該当する商標であっても、
先行登録商標権者の承諾を得ており、かつ、先行登録商標と出願商標との
間で混同を生ずるおそれがないものについては、併存登録が認められる
ことになりました。そのため、「承諾」や「混同を生ずるおそれがない」
ことの判断方法等について同項の審査基準を作成しました。
(2)第8条
第4条第4項の新設に伴い、同日出願の場合であっても
コンセント制度によって併存登録できるようになった(8条)ため、
「承諾」や「混同のおそれがない」ことの判断方法は同項の基準を
準用する旨の記載を同条の審査基準に追記しました。
(3)第4条第1項第8号
第4条第1項第8号における「他人の氏名」に一定の知名度の要件と、
出願人側の事情を考慮する要件(政令要件)が課されることになったため、
同号の審査基準に、一定の知名度の要件に関する項目と政令要件の
項目をそれぞれ追記し、一定の知名度の要件を判断する際の
留意点や政令要件の具体例を明示しました。
(4)第3条第1項柱書
6.(7): 国際分類の改訂に伴う修正をしました。
11.(1)(ウ): 明確化を目的とした修正をしました。
(5)第4条第1項第18号
改正条文(不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行に伴う
関係政令の整備に関する政令(令和5年11月29日政令第338号))
に差し替えました。
(6)第6条
4.: 国際分類の改訂に伴う修正をしました。
(7)第68条の9、10、11、12、13、15、16、17、18、20及び28
改正法の条文に差し替えました。
(8)その他
改正法の条文に対応する修正をしました。
多くの項目がありますが、実質的に重要となるのは、(1)~(3)です。
「コンセント制度の導入」に関連するのが(1)と(2)、「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」に関連するのが(3)となります。このうち、特にチェックが必要なのは、(1)と(3)です。(4)~(8)については、ほとんど形式的な修正にすぎませんので、時間がなければ特に確認しなくても問題ないでしょう。
2.改訂内容の詳細
次に、条項ごとの改訂点の詳細を見てみたいと思います。
今回は、特に重要となる上掲の(1)と(3)について取り上げます。
なお、改訂内容のすべてをレビューするとかなりの分量になりますので、その中でも特に重要と考えられる内容のみ、ここでは取り上げます。
したがって、すべての改訂点に言及しているわけではない点、ご承知ください。
その他の詳細は、「商標審査基準〔改訂第16版〕について」をご参照ください。
・第4条第4項
「コンセント制度の導入」に伴い、新設された内容となります。
商標登録出願をした商標が、先にされた他人の登録商標と同一又は類似のものであり、かつ、願書に記載した指定商品・指定役務が、その他人の登録に係る指定商品・指定役務と同一又は類似となる場合、商標法第4条第1項第11号により、商標登録を受けることはできません。
しかし、この場合であっても、① 出願人が、商標登録を受けることについて他人の承諾を得ており、かつ、② 出願人が当該商標の使用をする商品又は役務と、他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務との間で混同を生ずるおそれがなければ、商標法第4条第1項第11号は適用しないとするのが、この第4条第4項です。
商標審査基準では、このような場合の「他人の承諾」や「混同を生ずるおそれ」等の解釈・判断方法等について述べられています。
「他人の承諾」は、商標登録出願に係る商標の登録について承諾する旨の
引用商標権者の意思表示であって、査定時においてあることを要する。
「他人の承諾」は、査定時までに必要であるとされています。
「当該商標の使用をする商品又は役務と同号の他人の登録商標に係る
商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務」は、
第4条第1項第11号の判断において互いに同一又は類似の関係とされた、
両商標に係る指定商品又は指定役務のうち、出願人が出願商標を現に使用し、
又は使用する予定の商品又は役務(以下「商品等」という。)及び
同号の他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が
登録商標を現に使用し、又は使用する予定の商品等のことをいう。
混同を生ずるおそれがないかが判断される際に比較される商品・役務は、出願人が出願商標を現に使用し、又は使用する予定の商品又は役務と、他人の登録商標に係る商標権者等が登録商標を現に使用し、又は使用する予定の商品又は役務であるとされています。実際に商標が使用されている商品・役務だけでなく、使用予定の商品・役務も含まれることになります。
(1)「混同を生ずるおそれ」について
「混同を生ずるおそれ」は、第4条第1項第11号における
他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の
業務に係る商品等であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の
出所について混同するおそれのみならず、その他人の登録商標に係る
商標権者、専用使用権者又は通常使用権者と経済的又は組織的に
何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し、
その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれをもいう。
「混同を生ずるおそれ」とは、いわゆる「狭義の混同」だけでなく「広義の混同」も含まれることが明確にされています。
(2)「混同を生ずるおそれがない」ことが求められる時点・期間
「混同を生ずるおそれがない」に該当するためには、
査定時を基準として、査定時現在のみならず、
将来にわたっても混同を生ずるおそれがないと判断できることを要する。
「混同を生ずるおそれがない」という要件は、査定時だけでなく、将来的にもそのように認められると判断できることが必要だとされています。
(3)考慮事由
「混同を生ずるおそれがない」に該当するか否かは、例えば、
下記の①から⑧のような、両商標に関する具体的な事情を総合的に
考慮して判断する。なお、引用商標と同一の商標(縮尺のみ異なるものを
含む。)であって、同一の指定商品又は指定役務について使用するものは、
原則として混同を生ずるおそれが高いものと判断する。
① 両商標の類似性の程度
② 商標の周知度
③ 商標が造語よりなるものであるか、
又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
④ 商標がハウスマークであるか
⑤ 企業における多角経営の可能性
⑥ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
⑦ 商品等の需要者の共通性
⑧ 商標の使用態様その他取引の実情
・・・
「混同を生ずるおそれがない」ことを判断するにあたって、考慮される具体的事項が列挙されています。また、商標が同一で、同一の指定商品又は指定役務について使用するものである場合は、原則として混同を生ずるおそれが高いものと判断されるということです。
なお、「⑧商標の使用態様その他取引の実情」については、詳細が例示されていますので、実際の審査基準の内容をご確認ください。
(4)将来の混同を生ずるおそれを否定する方向に考慮できる事情
「混同を生ずるおそれがない」の判断の際に考慮される両商標に関する
具体的な事情には、査定後に変動することが予想されるものが含まれるところ、
査定後に変動し得る事情に基づいて併存登録された場合、それら商標の
使用によって、将来両商標の間に混同を生ずるおそれが否定できない。
そのため、将来の混同のおそれを否定する方向に考慮することができる事情は、
上記事情のうち、将来にわたって変動しないと認められる事情とする。
例えば、下記のような場合は、その内容を考慮する。
① 将来にわたって変更しないことが合意されている場合
出願人から、両商標に関する具体的な事情を将来にわたって変更しない
旨の当事者間における合意(例えば、常に社名を併用すること等、
上記(3)⑧a.から g.に掲げるような具体的な事情を変更しない旨の合意)
又はその要約が記載された書類が提出された場合。
② 将来にわたって変動しないことが証拠から認められる場合
上記の合意に基づく場合のほか、両商標に関する具体的な事情が、
提出された証拠等により、将来にわたって変動しないと認められる
合理的な理由がある場合。
「混同を生ずるおそれがない」かどうかが判断される際に考慮される具体的な事情のうち、将来の混同のおそれを否定する方向に考慮することができる事情は、「将来にわたって変動しないと認められる事情」であるとされています。そして、そのようなケースの具体例が例示されています。
(5)混同を生ずるおそれが認められる場合
上記 (1)から(4)を踏まえ審査をした結果、混同を生ずるおそれが
認められるとの心証を得た場合には、その商標登録出願は、
第4条第1項第11号の規定に基づき拒絶するものとする。
なお、そのような場合であっても、原則として、直ちに拒絶をすることなく、
追加資料の提出等を求めるものとする。
審査において、第4条第4項の適用が認められなかった場合は、原則通り登録拒絶となるとされています。ただし、その場合は、直ちに拒絶査定が出されるわけではなく、審査官より追加資料の提出等について指示があるようです。
<弁理士による追加コメント&雑感>
「コンセント制度」は、諸外国では比較的よく見られる制度です。
日本では、この制度の導入に関して、議論がされては見送られるという状況が、昔から長く続いていました。それが昨年の法改正により、「留保型コンセント制度」ではあるものの、ついに制度として認められることになったため、業界内では大きな話題となっています。
第4条第4項の適用を希望する場合、実務的には、① 先行登録の商標権者の承諾と、② 両商標の間で混同を生ずるおそれがないことを証明する書類を提出する必要があります。詳細な運用指針については現時点でまだ明らかになっていません(※追って「商標審査便覧」で定められる予定とのこと)が、書類については、承諾とともに両商標の使用状況等や、将来にわたって変動しないと認められる事情などを記載した「合意書」のような形で、関連資料と併せて提出することになるのではないかと予想されます。
2024年3月27日に、特許庁より「商標審査便覧」の改訂が公表されました。
「商標審査便覧」では、本件のより詳細な審査運用指針が述べられています。
また、承諾書、合意に関する書類の書式見本も掲載されております。
具体的な内容は、「商標審査便覧の改訂のお知らせ」よりご確認ください。
第4条第4項の適用が認められた場合、別人による同一又は類似の商標が、併存して登録されることになります。なお、一方の権利者が、不正競争の目的で他の権利者の業務に係る商品又は役務と混同を生ずる使用をした場合には、何人もその商標登録を取り消すための「不正使用取消審判」を請求することができるとされています。
ところで、法改正による「コンセント制度の導入」は大きな話題にはなっているものの、個人的には、おそらく、実際にはあまり利用されることがないのではないかと感じています。なぜなら、承諾を求められる先行登録の商標権者からすると、これに応じるメリットがほとんど考えられませんし、また、承諾だけならともかく、「将来的な合意」などの面倒な作業に律儀に応じるとはとても思えないからです。おまけに、「不正使用取消審判」が請求され得るリスクや、最悪の場合、それによって自身の登録商標が取消となり得るリスクまであります。
そもそも、事業者の立場としては、自社と同一又は類似の商標の登録を、他社に認めること自体が稀だと思われます。第4条第4項の適用のために、先行登録の商標権者に承諾を求めても、まず断られるというのが普通の流れではないでしょうか。特に、相手が中小企業や個人事業主の場合は、「コンセント制度」について理解してもらうだけでも一苦労でしょう。まともに取り合ってくれるとすれば、「大きなお金」が条件とされる場合に限られるように思います。
そう考えると、この「コンセント制度」を有効に活用できるのは、せいぜい既に取引関係のある大企業同士とか、グループ会社・関連会社同士くらいなのではないかという気がします。
弁理士の立場としても、仮にある事業者やその代理人から、第4条第4項の適用について自身のクライアントへの打診を間接的に求められても、正直迷惑であるというのが本音ではないでしょうか。なぜなら、クライアントへの「コンセント制度」の説明が非常に面倒である上に、(せこい話になりますが)そのやりとりは1円の利益にもならないからです。実際、時間をかけてクライアントに丁寧に説明をしたとしても、結局、相手方には断るというのがほとんどでしょう。ですから、先行登録の商標権者の代理人である弁理士に打診をしても、多くの場合、「〇〇社からこのような打診が来ましたが、御社にとってメリットはありませんので、断りましょう。」といった対応がされるというオチになる気がします。
あくまで個人的な見解ですが、第4条第4項の適用を先行登録の商標権者に求める場合には、弁理士(代理人)ではなく、直接その商標権者に打診をする方が、お互いのためと言えるように思います。
・第4条第1項第8号
今般の法改正による「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」に伴い、従来の審査基準の内容に追加・修正がなされています。
これまでは、他人の氏名を商標に含んでいる場合、その他人の承諾がない限り、商標登録は認められませんでした。しかし、今般の法改正によって、この要件が緩和され、他人の氏名を商標に含んでいても、それが一定の知名度(周知性)を有する他人の氏名でない場合には、承諾は不要となりました。これにより、商標登録のハードルはかなり下がったと言えます。
ただし、承諾を不要としたことで、無関係の者による他人の氏名の商標登録や、不正な目的による他人の氏名の商標登録がなされる懸念があることから、こういった登録を排除できるように、他人の氏名を含む商標については、「政令で定める要件を満たしていること」が、登録が認められるための追加条件とされました。
この「政令で定める要件」とは、具体的には、① 商標に含まれる他人の氏名と商標登録出願人との間に相当の関連性があること、② 商標登録出願人が不正の目的で商標登録を受けようとするものでないこと、です。①と②の両方の要件を満たしていることが必要です。
商標審査基準では、「他人の氏名の知名度(周知性)」や「政令で定める要件」等の判断方法・留意点等について、述べられています。
(1) 「商標の使用をする商品又は役務の分野」について
「商標の使用をする商品又は役務の分野」の判断にあたっては、
人格権保護の見地から、当該商標の指定商品又は指定役務のみならず、
当該他人と関連性を有する商品又は役務等をも勘案する。
(2) 「需要者の間に広く認識されている氏名」について
「需要者の間に広く認識されている氏名」の判断にあたっては、
人格権保護の見地から、その他人の氏名が認識されている
地理的・事業的範囲を十分に考慮した上で、
その商品又は役務に氏名が使用された場合に、
当該他人を想起・連想し得るかどうかに留意する。
他人の氏名の知名度(周知性)を判断する際の留意点が挙げられています。
要は、様々な観点から個別具体的に知名度が判断されるということでしょう。
日本人なら誰でも知っている程ではなくても、業界内や地域内での知名度があれば、柔軟に考慮・認定されることになり得るものと考えられます。
自己の氏名、名称、雅号、芸名、若しくは筆名又はこれらの略称に係る
商標であったとしても、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の
分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称
若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」
にも該当する場合(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は
他人の氏名を含む商標であって商標登録出願人が不正の目的で商標登録を
受けようとするものである場合には、当該他人の人格的利益を損なう
ものとして、本号に該当する。
自分の氏名等を含む商標を出願したところ、それが他人の氏名等でもあるといったケースも実際には多いでしょう。このように、たとえ自分の氏名等であったとしても、本号が適用されるということを確認した内容と思われます。第13版からある規定ですが、法改正によって条文が変更となったことから、修正が加えられています。
(1) 「商標に含まれる他人の氏名と商標登録出願人との間に相当の関連性があること」について
例えば、出願商標に含まれる他人の氏名が、出願人の自己氏名、
創業者や代表者の氏名、出願前から継続的に使用している店名等である
場合は、相当の関連性があるものと判断する。
(2) 「商標登録出願人が不正の目的で商標登録を受けようとするものでないこと」について
例えば、他人への嫌がらせの目的や先取りして商標を買い取らせる目的が、
公開されている情報や情報提供等により得られた資料から認められる場合は、
不正の目的があるものと判断する。
「政令で定める要件」のそれぞれの判断基準について、具体例が挙げられています。
しかしながら、(1)の「相当の関連性があること」については、いったいどこまでが認められるのかが、この規定からはわかりません。おそらくは、追って商標審査便覧などで指針等の詳細が明らかにされると思われます。(2)についても、「現実的にどのように判断するのか」といった点がよくわからず、現時点では懸念されるところです。
<弁理士による追加コメント&雑感>
今回の「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」について特に影響があるのは、主にファッション分野の事業者になろうかと思われます。逆に言えば、多くの事業者にとっては、あまり関係のない法改正とも言えるかもしれません。
懸念されるのは、商標について詳しくない一般の人々が誤解を生じることです。
もし、自分の氏名と同じ氏名が誰かに商標登録されてしまった場合、その氏名を名乗れなくなるのではないかなどと心配する人々が、一定数出てくるのではないかと心配です。そのようなことにはならないので安心してほしいのですが、特許庁はこの点について、一般の人々に誤解を生じさせないよう、事前に周知徹底すべきと思います。
なお、条文だけを読むとわかりにくいのですが、「政令で定める要件」は、「他人の氏名を含む商標」については、そのすべてが審査の対象となります。すなわち、その商標が、知名度のある他人の氏名を含んでおり、かつ、その他人から承諾を得ている場合であっても、さらに「政令で定める要件」を満たしていることが、商標登録が認められるためには必要です。
この点、「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」と言われてはいますが、「政令で定める要件」の解釈次第では、以前よりも判断が厳しくなる可能性があるのではないかという声も業界内ではあり、当職も当初より疑問に感じていた次第です。特に、「商標に含まれる他人の氏名と商標登録出願人との間に相当の関連性があること」を特許庁がどこまで認めるかという点は、気になるところです。
現時点ではまだ不明な点も多いことから、今後、商標審査便覧などで判断の指針等が明らかにされることが待たれます。
2024年3月27日に、特許庁より「商標審査便覧」の改訂が公表されました。
「商標審査便覧」では、本件のより詳細な審査運用指針が述べられています。
また、「政令で定める要件」の具体的な取扱いについても掲載されております。
詳細な内容は、「商標審査便覧の改訂のお知らせ」よりご確認ください。
3.まとめ
以上、今回は、今般の法改正による「コンセント制度の導入」と「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」に関連した商標審査基準の改訂についてレビューしました。
いずれも、文章(理屈)としては理解できるものの、「実際の実務において、現実的にどのように判断されるのか」などといった点が、現時点ではイマイチ明らかではありません。我々のような実務家にとっては、現時点ではどのように対応して良いのかわからない点も多く、不安な状況だというのが正直なところです。今後、商標審査便覧などにより、詳細な判断の指針等が明らかにされることが待たれます。
2024年3月27日に、特許庁より「商標審査便覧」の改訂が公表されました。
「商標審査便覧」では、本件のより詳細な審査運用指針が述べられています。
詳細については、「商標審査便覧の改訂のお知らせ」をご確認ください。
最初に述べたように、今般の法改正が影響するのは、実質的にはごく一部の事業者に限られると思われます。よって、多くの事業者にとってはあまり関係のない話になろうかと思いますが、概要を知っているだけでも、いつか役に立つかもしれません。ぜひ、頭の片隅にでも、留めておいていただければと思います。
願わくは、今回の法改正が、「ややこしいだけで、使いものにならない」などといった評価とならないよう、特許庁には運用を頑張っていただきたいところです。