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【重要】特許庁がファストトラック審査の休止を発表

<新着ニュース> 2023年3月16日

特許庁では、商標登録出願の願書の記載が所定の条件を満たす場合、審査期間を短縮する「ファストトラック審査」の運用を、2018年10月から実施しています。

この度、当該運用が「休止」される旨が特許庁のサイトで発表されましたので、当サイトでもお知らせいたします。



1.休止となる理由

休止の理由としては、「審査期間の短縮」が挙げられています。

現在、ファストトラック審査が適用された場合は、「出願から約6か月」で、審査結果が通知される運用となっています。

しかし、特許庁の「商標審査着手状況」のページを見てもわかるように、最近は審査のスピードが劇的に上がっており、通常審査であっても「出願から6か月以内」に審査結果が出されるケースが多くなっております。

つまり、最近では、わざわざファストトラック審査の適用条件を満たすような出願とせずとも、比較的早期に審査結果が出されるようになった、ということです。

少々乱暴な言い方をすれば、現時点においては、「もはやファストトラック審査の存在意義が乏しくなった」ことが、運用の休止に至った理由と言えるでしょう。

ただし、特許庁のサイトでは、「再開時期は未定です。」、「ファストトラック審査を再開する場合には事前に特許庁ホームページ等でお知らせいたします。」とも述べられておりますので、今後、再び審査期間が長期化する傾向があれば、当該運用が再開される可能性も十分に考えられます。



2.休止となる時期

令和4年度をもって休止することとなりました」とされています。

実質的には、2023年4月1日(土)以降の出願から休止ということになります。

2023年3月31日(金)までに出願されたものについては、ファストトラック審査の要件を満たす場合、現在の運用が適用されるとのことです。



3.実務への影響など

「休止」と言うとマイナスのイメージが伴いますが、今回の休止理由は、「通常審査でも、同様の短い審査期間が期待できるようになった」ことによりますので、広い目で見れば歓迎すべきものでしょう。

そもそも、ファストトラック審査の適用を受けるためには、願書の指定商品・指定役務の記載を、所定の書き方(表記)に制限する必要があります。この点は、「適切な商標登録をする」という観点からはそれなりの懸念事項になりますので、正直なところ、弁理士としては積極的にお勧めできるものではありませんでした

おそらく現状でも、まっとうな商標専門の弁理士の多くは、依頼人へのファストトラック審査のご提案は慎重に行っているはずです。当事務所でも、積極的にお勧めすることはまずありません。あくまで、「適切な商標登録をする」という観点を多少犠牲にしてでも、早期に審査結果を得る必要がある場合などに限られます。

なお、上述の「商標審査着手状況」のページによれば、商品・役務の区分によっては、依然として、審査着手までに6か月以上かかっているケースもあるようです。よって、このような区分のみを指定する出願で、いち早く審査結果を求めたい場合は、2023年3月31日(金)までに所定の条件を満たした上で、出願手続を完了するのがよろしいかもしれません。



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