いろいろな言語の商標を検索する方法（J-PlatPat）

＜新着コラム＞　2023年2月15日

私たちが普段目にする「文字商標」と言えば、ひらがな、カタカナ、漢字を使った日本語の商標や、アルファベットの商標が挙げられるでしょう。J-PlatPatを使って、商標調査や商標検索をする場合も、このような商標を対象とすることがほとんどだと思います。

一方で、我が国にも世界中の事業者から、商標登録や商標出願がなされているという事実があります。現地の商標を日本向けにアレンジすることもあるでしょうが、現地の文字（たとえば、キリル文字、ハングル文字、アラビア文字など）そのままで、商標登録や商標出願がされるケースもあります。また、日本の事業者が必要に応じて、我が国で現地の文字の商標を登録・出願するケースもあるでしょう。

さて、このような現地の文字で、我が国において登録・出願がされた商標をJ-PlatPatで検索してみたい場合、どのようにすれば良いのだろうと思ったことはないでしょうか。

実は、意外と簡単に検索することができます。

「どんな感じの商標が登録されているのだろう？」という知的好奇心を満たしたい場合には、試してみると面白いかもしれません。

そこで今回は、このようなキリル文字、ハングル文字、アラビア文字などの商標を、J-PlatPatを使って検索する方法をご紹介いたします。

１．検索の基本的な方法

さて、J-PlatPatで「商標検索」の画面を開いても、キリル文字、ハングル文字、アラビア文字などの商標を検索するといったメニューや項目はありません。

こういった文字の商標をピンポイントで検索するには、「図形等分類」を用いることになります。「図形等分類」というのは、図形商標調査の際に利用するものですね。

「図形等分類表」を見てみると、「28. 種々の字体による文字」という分類があり、以下のようにコードが付与されています。

つまり、J-PlatPatの「商標検索」において、「図形等分類」の項目の入力フォームに、該当する分類コードを入力すれば、これらの文字から構成される商標を検索することができるということになります。

なお、各商標データの「図形等分類」は、特許庁が「人の手」で付けていると思われます。そのため、作業者によって判断が微妙になったり、間違いやモレがある可能性も否定できません。したがって、この検索方法によって対象となる全ての商標が網羅できるとは限らないと考えられますので、予めご了承ください。

２．キリル文字の商標の検索方法

では、実際にJ-PlatPatを使って検索してみましょう。
まずは、「キリル文字」の商標から見てみます。

「キリル文字」は、ロシア語などで使われており、日本人でも「どこかで見たことがある」という人がほとんどだと思います。最近は、社会的情勢もあってか、キリル文字に興味を持つ若者も多いようですね。

図形分類表を見ると、「28.5 キリル語による文字」があります。
J-PlatPatの「商標検索」で、「商標（マーク）」の３番目の検索項目に「図形等分類」がありますので、右側の入力フォームに「28.5」と入力します。

入力ができたら、一番下にある「検索」ボタンを押下します。
（今回は、商品や役務は考慮しないで検索します。）

検索結果が表示されました。

個別の商標データを見ると、一応は「商標(検索用)」に文字が設定されているようです。また、称呼もちゃんと付けられていることがわかります。ということは、通常の称呼検索でも、キリル文字の商標は検出可能ということになりそうです。

３．ハングル文字の商標の検索方法

次に、「ハングル文字」の商標を検索してみましょう。
ハングル文字は、韓国語でも使われており、我が国においても比較的親しみのある言語だと言えるでしょう。

図形分類表を見ると、「28.19.00.01 ハングル文字」があります。
J-PlatPatの「商標検索」で、「商標（マーク）」の３番目の検索項目に「図形等分類」がありますので、右側の入力フォームに「28.19.00.01」と入力します。

入力ができたら、一番下にある「検索」ボタンを押下します。
（今回は、商品や役務は考慮しないで検索します。）

検索結果が表示されました。

個別の商標データを見ると、称呼はちゃんと付けられているようですが、「商標(検索用)」にハングル文字は設定されていないようです。

なお、構成がハングル文字のみの商標の場合は、「商標(検索用)」に「ハングル（図）」と設定されているように見受けられます。

ということは、ハングル文字のみからなる商標をチェックしたい場合は、J-PlatPatの「商標検索」で、「商標（マーク）」の１番目の検索項目「商標（検索用）」の右側の入力フォームに、「ハングル（図）」と入力して検索すればＯＫということになります。（※ただし、すべての商標が網羅されているとは限りませんので、予めご留意願います。）

実際に、この方法でも検索をしてみましょう。

一番下にある「検索」ボタンを押下すると、検索結果が表示されます。

なお、「ハングル（図）」と入力して検索する方法は、以前のコラムでもご紹介しております。

４．アラビア文字の商標の検索方法

最後に、「アラビア文字」の商標を検索してみましょう。
アラビア文字に馴染みのある日本人は、実際あまりいないと思われます。「右から左に読む」という特徴が、よく知られているくらいではないでしょうか。

図形分類表を見ると、「28.1 アラビア語による文字」があります。
J-PlatPatの「商標検索」で、「商標（マーク）」の３番目の検索項目に「図形等分類」がありますので、右側の入力フォームに「28.1」と入力します。

入力ができたら、一番下にある「検索」ボタンを押下します。
（今回は、商品や役務は考慮しないで検索します。）

検索結果が表示されました。

個別の商標データを見ると、アラビア文字の部分については「商標(検索用)」の設定はなく、さすがに称呼も付けられていないようです。構成がアラビア文字のみの商標は、実質的に図形商標と同じ取扱いがされていると言えるでしょう。

５．おわりに

いかがだったでしょうか。
意外と簡単に検索ができて、驚いた方もおられたかもしれません。

たまには様々な言語の商標を眺めるのも、とても興味深いものがあります。
ぜひ、「図形等分類」に載っている他の言語も検索してみてください。
（検索結果が多く出てくるものは、区分などで限定をすると良いでしょう。）