アイウェア(眼鏡・サングラス等)と商標登録の話
<新着コラム> 2023年1月27日
眼鏡、コンタクトレンズ、サングラス、カラコン、ゴーグルなどのいわゆる「アイウェア」は、私たちの生活の中で欠かせないものとなっています。
嫌でも目を酷使する必要のある現代社会においては、眼鏡やコンタクトレンズがないと大いに困るという人々も少なくないでしょう。また、サングラスやカラコン(カラーコンタクトレンズ)は、今やファッションアイテムの一つとしても定着しています。
さて、このような「アイウェア」関連の商品について使われるネーミングやロゴマークも、「商標」になり得ます。ですから、他の商品・サービス分野と同様に、「商標登録」が大切です。
眼鏡やサングラスなどのアイウェアについては、一般的な商品とは異なり、商品そのものに大々的に商標を表示することはあまり考えられません。そのため、商標登録の必要性がさほど高くないのではないかと考える事業者の方も、中にはおられるかもしれません。
しかし、「ブランド力」が物を言うアイウェア関連の商品においては、これを構築し、育成していくためにも、商標登録によって適切に商標を保護することは重要です。また、模倣品や偽造品対策の一つとしても、商標登録は役立つことが期待できます。
今回のコラムでは、このような眼鏡、コンタクトレンズ、サングラス、カラコンなどの「アイウェアに関する商標登録」について、簡単に概観してみたいと思います。
1.アイウェアに関する商標登録対象と特徴
アイウェアに関する商標登録の対象、すなわち、眼鏡、コンタクトレンズ、サングラス、カラコン、ゴーグルなどの商品に使用される商標(識別標識)には、どのようなものがあるでしょうか。
一例としてまず考えられるのは、メーカー名(会社ブランド名)でしょう。
また、商品名(商品ブランド名、商品モデル名)も、重要な対象となります。
実際に使われる場面では、これらが一緒に表示されることも少なくないと思われます。
もちろん、これらのロゴマークやシンボルマークも対象になり得ます。
ただ、眼鏡やサングラスなどの商品の特徴を踏まえれば、一般的な商品とは異なり、そのもの自体に大々的に商標を表示することはあまり考えられない気がします。表示するとすれば、「テンプル(つる)の部分に小さく」ということになるのではないでしょうか。よって、表示スペースの都合上、ロゴタイプはまだ比較的多いかもしれませんが、シンボルマークというのは一般的に多くはないのかもしれません。
とはいえ、商標は商品そのもの自体だけでなく、その付属品や、タグ、包装、広告物、カタログ等にも使用されるものですから、シンボルマークが、商標としての機能を発揮するものとして重要になることには変わりありません。当然、採用されることはあるでしょう。
商標登録をすることによって、商品(=眼鏡、コンタクトレンズ、サングラス、カラコン、ゴーグル等)に関して、その商標の使用を独占することができ、他人が同じ商標や似ている商標を使うことを排除することが可能になります。
これにより、ブランドの構築や育成を、より促進しやすくなることが期待できます。また、模倣品や偽造品対策の一つとしても、商標登録が役立つことが期待できます。
2.アイウェアに関する商標登録の区分
商標登録をする際、申請書となる願書には、登録をする商標とともに、具体的な商品・サービスを記載する必要があります。基本的には、その商標を実際に使用する商品・サービスや、将来的に使用する予定のある商品・サービスを指定することになります。
なお、指定する商品・サービスは、それらが分類されている「区分」とあわせて記載する必要があります。区分の数は、全部で45あります。このうち、商品の区分が第1類~第34類、サービスの区分が第35類~第45類となっています。
では、アイウェアに関する商標登録をする場合、どのような区分を指定すれば良いでしょうか。
この場合、主に「第9類」を指定することになります。
「第9類」には、以下のように、多くのアイウェア関連商品が含まれています。
※以下で挙げる商品・サービスは、あくまで一例となります。
・普通眼鏡
・眼鏡フレーム
・眼鏡レンズ
・眼鏡ケース
・眼鏡ふき
・コンタクトレンズ
・カラーコンタクトレンズ
・コンタクトレンズケース
・コンタクトレンズ用容器
・サングラス
・サングラスフレーム
・サングラス用レンズ
・サングラス用のケース
・サングラスふき
・運動用ゴーグル
・花粉症用めがね
・防じん眼鏡
本体だけでなく、ケースなどの付属品も含まれます。
ほとんどの場合は、少なくともこの「第9類」を指定することになるでしょう。
なお、「眼鏡レンズ用洗浄用液」や「眼鏡用クリーナー」は、化粧品などの商品が分類されている「第3類」、「コンタクトレンズ用溶液」や「コンタクトレンズ用洗浄剤」は、薬剤などの商品が分類されている「第5類」に含まれますので、この点には注意が必要です。
また、その商標が、ショップ(店舗)や通販サイトの名称・マークとしても使われるようであれば、「眼鏡及びその付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、「コンタクトレンズ及びその附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、「サングラスの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などのサービスが含まれる「第35類」の指定についても、あわせて検討すると良いでしょう。
もちろん、上掲の例の他にもその商標を使う商品・サービスがあれば、それらが分類される区分の追加を検討すべきなのは言うまでもありません。
3.アイウェアに関する最近の商標登録出願動向
さて、アイウェアに関する商標登録出願は、実際にどの程度あるのでしょうか。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して簡易的に調べたところ、一昨年2021年の間に、主要なアイウェア関連商品の分類コードである「23B01」を含む第9類の区分についてされた出願は、約6,800件程度あったようです。
2021年の全体での商標登録出願数は約18万件だったようですので、割合としては「平均よりもそこそこ多い」と言えるでしょう。
ただし、実際に出願・登録された商標を見てみると、アイウェアの事業分野とはほとんど関係のない大手企業が防衛的に出願していると思われるものも多く見受けられました。よって、アイウェアに関する純粋な商標について出願されたものの数としては、そこまで多いわけではないと考えられます。
最後に、2021年に出願されて登録が認められた商標の一例を見てみましょう。
登録日:2021/09/01
権利者:株式会社メガネトップ
・「衛生ケアプラス」(登録6438398号)
登録日:2021/09/03
権利者:セイコーグループ株式会社
・「eyemoon」(登録6469770号)
登録日:2021/11/11
権利者:フロムアイズ株式会社
・「スリムグラス」(登録6499426号)
登録日:2022/01/14
権利者:株式会社トライ-アングル
・「クボタグラス」(登録6646952号)
登録日:2022/12/01
権利者:窪田製薬ホールディングス株式会社
・「BALANCER」(登録6452157号)
登録日:2021/10/06
権利者:宮本眼鏡株式会社
・「AIカラコン」(登録6456559号)
登録日:2021/10/14
権利者:株式会社ANW
・「ORIENS」(登録6460657号)
登録日:2021/10/22
権利者:オリエント眼鏡株式会社
・「鉄壁」(登録6467020号)
登録日:2021/11/05
権利者:愛眼株式会社
・「トレーネ\trane」(登録6522451号)
登録日:2022/03/03
権利者:アイミー株式会社
4.おわりに
アイウェア関連の商品は、今やファッションアイテムの一つです。
これらに使われる商標は同時に「ブランド」となり、適切な保護のためには商標登録が大切です。また、商標登録は、模倣品や偽造品対策の一つとしても活用されることが期待できます。
もし、アイウェア関連商品にかかわる事業者の方で、商標登録を迷っているということがあれば、ぜひ積極的にご検討されることをお勧めする次第です。
なお、当事務所でも、「アイウェアに関する商標登録」についてのご相談・ご依頼を承ることが可能です。もし、商標登録でお悩み、お困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。当事務所からの初回の回答は無料です。こちらのメールフォームより、まずはご連絡願います。
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※:参考リンク(当事務所ウェブサイト)
・「商標登録とは?」
・「商標登録をしないとどうなるのか」
・「ファッションブランド・アパレル関係者のための商標登録」
・「当事務所の商標登録サービス」