類似商品・役務審査基準(国際分類第12-2023版対応)の公表
<新着ニュース> 2022年12月16日
今年も年末恒例の、「類似商品・役務審査基準(国際分類第12-2023版対応)」が、特許庁のホームページに公表されました。今回から、「第12版」となります。
この「国際分類第12-2023版」は、令和5年1月1日以降の出願に適用されます。
今回の改訂は、特段大きな変更点があるというわけではなく、細かい修正がメインと言えそうです。ただ、願書に比較的よく記載される第25類「運動用特殊衣服」や、第29類及び第30類の「菓子」関連の表示についての運用が変更となっておりますので、注意が必要でしょう。
また、第9類に「スロットマシン用プログラム」や「ぱちんこ器具用プログラム」が新たに追加されている点にも、留意したいところです。
というわけで本年もまた、特許庁による「変更点一覧」を確認いたしましたので、本ページにて情報を取りまとめたいと思います。ご参考になれば幸いです。
なお、下記の情報は、変更点一覧にある一部を抜粋したものです。
注目度が高いと思われるものをピックアップしておりますが、細かな変更点は他にもありますので、詳細は上記特許庁のサイトを各自ご確認願います。また、国際分類の変更点も併せてご確認されることをお勧めいたします。
今後、更なる変更や修正・訂正が入る可能性もあります。
情報のご利用に当たっては、適宜特許庁のホームページもご確認願います。
1.新規追加
「国際分類第12-2023版」では、以下の商品・役務等が新たに追加されています。
・第9類「ぱちんこ器具用プログラム」(24B02)
・第10類「業務用超音波美顔器」(09E25)
・第16類「しきし」(25B01)
・第20類「紙タオル取り出し用箱(金属製のものを除く。)」(19B54)
・第19類「石製・コンクリート製又は大理石製の記念カップ」(20E01)
・第19類「石製・コンクリート製又は大理石製の記念たて」(20E01)
・第20類「木製・ろう製・石膏製又はプラスチック製の記念カップ」(20E01)
・第20類「木製・ろう製・石膏製又はプラスチック製の記念たて」(20E01)
・第21類「磁器製・陶器製・土器製・テラコッタ製又はガラス製の記念カップ」(20E01)
・第21類「磁器製・陶器製・土器製・テラコッタ製又はガラス製の記念たて」(20E01)
・第30類「料理用人工甘味料」(31A03)
・第42類「望遠鏡の貸与」(42X15)
・第45類「雑踏警備」(42T01)
昨年「国際分類第11-2022版」の改訂により、第28類「色紙(いろがみ)」が第16類に区分変更になったところ、元々第16類に含まれていた「色紙(しきし)」と表記が紛らわしくなったことから、今回の改訂で漢字表記ではない「しきし」が加えられたようです。
「記念カップ」と「記念たて」については、昨年「国際分類第11-2022版」の改訂で「金属製」(第6類)、「貴金属製」(第14類)に分かれましたが、今回の改訂でさらに明確に細分化がされています。
「人工甘味料」は、元々は第1類に分類されていましたが、後述のように、今回の改訂で「工業用人工甘味料」の表示に変更となり、「料理用」のものについては第30類に含まれることになりました。
2.区分の変更
「国際分類第12-2023版」では、以下の商品・役務等の区分が変更となります。
・第26類「メリヤス機械用編針」 → 第7類へ
・第26類「ミシン針」 → 第7類へ
・第7類「人力織機」 → 第8類へ
・第25類「水上スポーツ用特殊衣服」 → 第9類へ
・第25類「水上スキー用ウェットスーツ」 → 第9類へ
・第25類「サーフィン用ウェットスーツ」 → 第9類へ
・第9類「水泳用耳栓」 → 第10類へ
これまで第25類「運動用特殊衣服」に含まれていた「水上スポーツ用特殊衣服」等が、第9類に移動となります。これにより、第25類には指定商品として「運動用特殊衣服」と記載することはできなくなり、「運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。)」と記載する必要がある点に注意が必要です。
また、これまで第26類「針類」に含まれていた「ミシン針」も、第7類に移動となっています。これにより、第26類には指定商品として「針類」と記載することはできなくなり、「針類(ミシン針を除く。)」と記載する必要があると考えられます。
3.表示変更
「国際分類第12-2023版」では、以下の商品・役務等の表示変更がされています。
→
「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」
・第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」
→
「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」
・第1類「人工甘味料」 → 「工業用人工甘味料」
・第12類「燃料タンク」 → 「航空機用燃料タンク」
・第16類「色紙」 → 「いろがみ」
・第21類「せっけん用ディスペンサー」
→ 「せっけん用ディスペンサーボトル」
・第26類「針類」 → 「針類(ミシン針を除く。)」
・第30類「家庭用食肉軟化剤」 → 「料理用食肉軟化剤」
・第41類「光学機械器具の貸与」
→ 「光学機械器具(望遠鏡を除く。)の貸与」
・第19類「リノリューム製建築専用材料」 → 「リノリウム製建築専用材料」
・第19類「リノリューム製壁板」 → 「リノリウム製壁板」
・第19類「リノリューム製タイル」 → 「リノリウム製タイル」
・第19類「リノリューム製床板」 → 「リノリウム製床板」
・第20類「ししゅう用枠」 → 「刺しゅう用枠」
・第40類「ししゅう」 → 「刺しゅう」
「国際分類第11-2020版」による改訂で、第30類「菓子」が第29類と第30類に分かれましたが、今回の改訂で、肉又は魚を主原料とするものが第29類に含まれることが、さらに明確化されています。
第16類「色紙」については、前述のとおり「しきし」と紛らわしいことから、漢字を使わない「いろがみ」の表示に変更となったようです。
第26類「針類」は、「ミシン針」が第7類に移動となったこと、第41類「光学機械器具の貸与」は、「望遠鏡の貸与」が第42類に新設されたことに起因する表示変更になると言えるでしょう。
第1類「人工甘味料」は「工業用人工甘味料」に表示変更となりますが、「料理用人工甘味料」は第30類に分類されるという点は、前述のとおりです。
4.区分の変更+表示変更
以下の商品については、区分の変更と表示変更が同時にされています。
・第17類「絶縁手袋」 → 第9類「事故防護用絶縁手袋」
・第28類「水中銃」 → 第13類「水中銃(運動用具)」
・第19類「繊維製の落石防止網」
→ 第22類「落石防止網(金属製のものを除く。)」
・第18類「がま口口金」 → 第26類「がま口用留め具」
「国際分類第11-2017版」による改訂で、第25類「靴保護金具」が、第6類「金属製靴保護金具」、第20類「靴保護金具(金属製のものを除く。)」に分かれました。その後、「国際分類第11-2020版」による改訂で、第20類「靴保護金具(金属製のものを除く。)」が「靴保護具(金属製のものを除く。)」に表示変更となりました。
そして、今回の改訂により、この表示変更がされた第20類「靴保護具(金属製のものを除く。)」が後述のように削除となり、残っていた第6類「金属製靴保護金具」が、第25類「靴保護具」に区分変更・表示変更となったようです。
グルグルとループしているようで、もはや意味不明ですが、結局、従来の「靴保護金具」があった第25類に、「靴保護具」として戻ってきたイメージでしょうか。
第28類「水中銃」については、第13類「水中銃(運動用具)」に区分変更・表示変更となっていますが、個人的には違和感があります。
5.類似群の変更
「国際分類第12-2023版」では、以下の商品の類似群が変更されています。
20F01 → 11A06 20F01
商品の性質からすると、大部分の事業者には特に影響はなさそうです。
6.削除
「国際分類第12-2023版」では、以下の商品等の削除がなされました。
・第7類「蒸気過熱低減器」
・第9類「オゾン発生器」
・第20類「靴保護具(金属製のものを除く。)」
・第25類「運動用特殊衣服」
・第29類「食用たんぱく」
・第31類「飼料用たんぱく」
第25類「運動用特殊衣服」は削除となりますが、前述のように、「運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。)」であれば、引き続き第25類に記載が可能です。
まとめ
今回の改訂では、特段大きな変更点があるというわけではなく、一部の業界の事業者のみに影響がある内容と言えるでしょう。
細かい修正が大部分ですが、願書に比較的よく記載される第25類「運動用特殊衣服」や、第29類及び第30類の「菓子」関連の表示についての運用が変更となっておりますので、注意が必要です。新出願をする際には、願書で指定商品の表記を安易に使い回ししないよう、要注意です。