弁理士生活15年目を迎えて
<新着コラム> 2021年10月28日
私事ではありますが、今年で弁理士生活15年目を迎えることとなりました。
弁理士試験の勉強を必死に頑張っていたのがつい数年前かと感じるほど、あっという間の15年でした。これまで弁理士として、健康に、大きなトラブルもなく、そして弁理士という職業を楽しみながら仕事をやってこられたことを、大変嬉しく思います。
また、これまでの弁理士生活において、お世話になった先輩方、勤務先の同僚の方々、多くの依頼人の皆様、ご相談をいただいた弁護士の先生方、同期の仲間達、協力会社の方々には心から感謝申し上げます。業界未経験でスタートを切り、何事もあまり長続きしない私(笑)が、弁理士としてここまでやってこられたのは、ひとえにご縁のあった皆様のおかげだと痛感しております。きっと、自分の知らないところで、いろいろと助けていただいたり、骨を折っていただいたりしたことも、少なくはないはずだと思います。
私は、最初から商標専門の「商標弁理士」として仕事をしております。
ですから、商標弁理士としても、今年で15年目を迎えたことになります。
「15年」と聞くと、それなりのベテランのように思われるかもしれませんが、商標の世界では、やればやるほど難しさ、奥深さを実感するものです。駆け出しの頃よりも現在の方が、判断やご提案に迷うということも、実は少なくないように思います。長くやればやるほど、今まで見落としていた新しい視点や考え方に気付くこともあります。
たとえば、「理屈では最善と言えても、広い視野、長い目で見た場合に、依頼人にとって本当に最善と言えるのか?」といった点は、常に頭を悩ませる問題です。特に自分自身が独立してからは、経営者の視点や心情がよくわかるようになったこともあり、この点を強く意識するようになりました。まだ弁理士として駆け出しの頃には、ご依頼をこなすだけで精一杯で、こういった視点まで踏まえて考える余裕など正直なかったことを思うと、それなりに成長したのかなという気もします。
とはいえ、かの有名な宮本武蔵の言葉に、
「千日の稽古を鍛として、万日の稽古を練とす」
とあるように、その道を究めるには10,000日(約30年)が必要とあれば、ようやく半分にすぎません。
私の尊敬する大先輩の商標弁理士の先生が以前、商標実務歴が40年以上あっても、「まだ、わからないことはたくさんあるし、商標は難しい。」とおっしゃっていたのを、よく覚えています。もしかすると、10,000日でも足りないくらいなのかもしれません。
そう考えると、私などまだまだ「毛の生えた程度」であると、自覚すべきでしょう。
これからも、決して慢心することなく、そして初心を忘れることなく、研鑽を重ね、武士道精神に則って、「正統派の商標弁理士」として末永く誠実に仕事を続けられるよう、頑張っていく所存です。
今後とも、皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。