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数字で見る商標登録と商標登録出願

<新着コラム> 2019年9月17日

経営者の方々からすると、「商標登録は大事」とか「商標登録出願は1日も早く」などとよく聞くけれど、実際のところはどれくらいがされているの?と、疑問を持つことも少なくないと思います。

たしかに、具体的な数値があった方が、より説得力があるでしょう。
商標登録出願を迷っている方にとっては、モヤモヤが晴れるかもしれません。

そこで、今回のコラムでは、日本における商標登録出願・商標登録の具体的な数字を、少し見てみたいと思います。

なお、統計情報については、特許庁の「特許行政年次報告書2019年版」を参考にしておりますので、より詳細を知りたい方はこちらもご覧ください。


1.2018年の商標登録出願の件数

昨年2018年の商標登録出願件数は、18万4483件でした。
これは単純計算で、毎日約500件が出願されていることになります。

商標登録は「早い者勝ち」ですから、出願が1日遅れれば500件、3日遅れれば1500件、1週間遅れれば3500件ものライバルに先を越されることになります。
1日も早い出願完了がいかに重要であるかが、実感できるのではないでしょうか。

なお、このうち中小企業による出願は、8万9158件と言われています。
一見そこそこ多い数に思われますが、日本の中小企業の数が約358万社であることを考えますと、まだまだ商標登録の認知率・利用率は低いと言わざるを得ません。

ところで、上記の約18万件という統計情報には、近年、特定の個人と企業が出願手数料を支払わずに大量に出願を繰り返し、それらのほぼ全てが却下されている件数分が含まれているかは不明です。このような問題ある出願は、1万件程度はあると考えられますので、実質的な出願件数としては、若干少なくなるかもしれません。

ちなみに、中国では、2019年の上半期だけで約343万件が出願されたそうです。
圧倒的な数ですが、中国では商標登録の重要性についての認知度が、日本と比べてかなり高いことが予想されます。


2.2018年の商標登録の件数

昨年2018年の商標登録件数は、11万6547件でした。
これは、出願されたもののうち、特許庁の審査をパスして登録料を納付した数です。

審査結果が出るまでには約7~9か月かかります(※当時の審査期間)ので、前年に出願されたものも相当数あると考えられます。したがって、これらの数字は、上記の2018年に出願されたものの中で登録が認められた数というわけではありません

審査にパスしても登録料を納付しないケースや、出願却下となるケースもありますので、実質的な商標登録率というのは、概ね60~70%程度であろうと思われます
ですから、一般的には、登録できる確率の方が高いと考えられます。

ところで、現在日本でされている(有効な)商標登録の総数はどれくらいあるでしょうか。
諸説ありますが、当職が調べたところによれば、約190万件あると思われます。

なお、中国では、2019年の上半期だけで約351万件が登録されたとのことです。
こちらの数も圧倒的ですね。


3.2018年の審判請求・異議申立ての件数

特許庁の審査で「登録を認めない」という判断(拒絶査定)がされても、不服申立ての手続として、「拒絶査定不服審判」を請求することができます。
昨年2018年に、この拒絶査定不服審判が請求された数は838件でした。

拒絶査定不服審判では、おおむね7割程度の請求が認められています
つまり、一度拒絶査定となっても、その7割程度は判断が覆って、最終的に商標登録が認められるということです。
このことから、商標登録は、すぐにあきらめないことが重要だとわかります。

また、他人の商標登録の成立に異議がある場合は、所定の期間内に、誰でも「商標登録異議申立て」を行なうことができます。申立理由が認められれば、その商標登録は取り消されます。
昨年2018年に、この異議申立てがされた数は417件でした。

異議申立てでは、おおむね1割程度が登録取消となっています
予想以上に、異議が認められていないのが実際のところと言えます。
このことから、他人の商標登録を取り消すのはかなり難しいことがわかります。

なお、上記統計情報の詳細や、無効審判などのその他の審判に関する統計は、前掲特許庁のウェブサイトをご参照ください。


4.おわりに

いかがでしたでしょうか。

商標登録は「早い者勝ち」の制度であるところ、毎日500件程度の出願がされています。出願をするかどうか、実はあまりのんびりと悩んでいられないことがわかったのではないでしょうか。

実際の商標登録率は比較的高めですし、たとえ一度は拒絶査定がされたとしても、拒絶査定不服審判によって、最終的に登録できるチャンスも小さくはありません。

ぜひ、これを機会に、貴社の大切な商標の商標登録をご検討下さいませ。