新標準文字の適用について(2017年7月12日)
<新着コラム> by 永露祥生
平成29年1月1日以降になされた商標登録出願については、新しい標準文字が適用されています。見落としている実務担当者の方もいらっしゃるかもしれませんので、本コラムであらためてご紹介いたします。
標準文字とは
標準文字制度とは、文字のみにより構成される商標のうち、特許庁長官があらかじめ定めた文字書体によるものをその商標の表示態様として公表し、登録する制度です。
(特許庁「標準文字の指定に関するQ&A」より)
実務上は、文字商標を登録したい場合で、特にロゴや使用態様が決まっていないようなときに、利用されています。なお、標準文字制度は、平成8年の商標法改正で導入されたため、それ以前に登録された商標については、標準文字商標ではないことになります。
また、上記の特許庁が公表している「標準文字の指定に関するQ&A」によれば、以下のように説明がされています。
なお、標準文字で商標登録がなされた場合、その商標権の及ぶ範囲は、登録された商標(標準文字)と同一又は類似の範囲であり、通常の商標登録と比較してその範囲の広狭に差異はありません。
基本的に、商標権の効力範囲には差異はないと思われますが、「登録商標の使用(社会通念上同一の商標の使用)」が求められる不使用取消審判の対策としては、標準文字か否かで留意する必要があるでしょう。
新標準文字の変更点
新標準文字における主な変更点は、こちらになります。
ご覧いただくとわかりますが、ほとんどが一般的な商標には採用されにくいような難解な漢字です。強いて挙げるとすれば、食品や飲料の分野の商標として用いられる可能性があるものが含まれているかもしれません。また、商標の一部に、地名や地域名が含まれる場合にも念のため確認したほうが良いかもしれません。
平成29年1月1日以降、「旧標準文字」は標準文字として認められないとのことですので、旧標準文字における漢字の態様で商標登録をしたい場合には、別途商標見本を作成して出願することになりそうです。また、旧標準文字の登録商標を、新標準文字に変更することもできないとのことですので、逆に新標準文字における漢字の態様で商標登録をしたい場合には、新標準文字による再出願を行なう必要がある、ということになります。
標準文字制度を利用する場合の注意点
標準文字と認められないものとして、上記「標準文字の指定に関するQ&A」でも多くの例示がされていますが、実務上は、特に以下を覚えておくと良いと思います。
・文字数が30文字を超える(スペースも文字数に加える)場合
・半角文字及び半角スペース
・連続したスペース(全角)を含む場合