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徳川家紋の商標登録に異議取消決定
(2017年3月6日)

<新着ニュース> by 永露祥生

昨年11月に当事務所の新着ニュースとしても取り上げましたが、水戸徳川家の家紋によく似た商標が、イベント会社に商標登録されたため、水戸徳川家15代当主が理事長を務める公益財団法人がこれに異議申立てをした事件で、この度特許庁がこれを認め、「商標登録を取り消す決定」をしたとのことです。


異議申立ての対象となった登録商標

異議申立ての対象となった登録商標は、以下の商標と思われます。

登録第5810969号


取消の理由

報道によれば、取消理由については、「葵の御紋という著名なマークと酷似しており、誤認や混同が生じるおそれがある」というものだったとのことです。文言から予測するに、おそらく商標法第4条1項15号が適用されたものと思われます。

決定書の送付は、2月28日付とのことですので、被申立人は、この決定に不服がある場合、知的財産高等裁判所に決定の取消訴訟を提起する余地がまだあります。そのため、今回の取消決定は、現時点ではまだ確定していない点に注意が必要です。

もっとも、近年の異議決定に対する取消訴訟では、その大半が棄却されておりますので、訴訟を提起したとしても、これを覆すのは至難の業なのではないかと思われます。


私見~他に存在している徳川家紋風の登録商標への対応は?~

結果としては、昨年の関連記事における当事務所の見解のとおりになりました。

昨年11月30日に取消理由通知が発せられ、今年の初頭に異議申立人が意見書を提出、その約2か月後に取消決定という流れを辿っています。

今後の展開で気になるのは、すでに商標登録が認められている「徳川家紋風の商標」は意外と多く存在しているところ、これらについて今回の異議申立人はどういった対応を取っていくのかということでしょう。

本件の取消理由が商標法第4条1項15号ということであれば、今後、他の徳川家紋風の商標に対しても無効審判を請求することが考えられます。しかし、本号は除斥期間がありますので、登録から5年が経過しているものについては、不正の目的があることを立証しなければならず、そのハードルは決して低くはないでしょう。いずれにしても、無効審判を請求するなら、迅速に動き出すことが必要でしょう。

一般的には、異議申立てよりも無効審判の方が費用もかかります。今後、申立人が、自らの信念に基づいてどこまで「徳川家紋風の登録商標」へのアクションを起こしていくかが注目されるところです。