色彩のみからなる商標に初の商標登録
(2017年3月2日)
<新着ニュース> by 永露祥生
2015年4月1日より出願受付が開始された「新しいタイプの商標」(音、動き、ホログラム、位置、色彩のみの商標)ですが、これまでに「色彩のみの商標」については、商標登録が認められた例がありませんでした。
この度、経済産業省のウェブサイトにて、この「色彩のみの商標」について特許庁が初めて商標登録を認める旨の判断をしたことが公表されました。
(http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170301003/20170301003.html)
商標登録が認められた「色彩のみからなる商標」
今回、商標登録が認められた「色彩のみからなる商標」は、2件です。
具体的には、以下の商標になります。(※経済産業省ウェブサイトより)
いずれも、消しゴム、コンビニエンスストアについて用いられている色彩として、よく知られているものと言えます。このような色彩のみからなる商標は、そもそも商品・サービスの需要者や取引者の間で周知著名となっていなければ商標登録は認められないものではありますが、今回の例を見ると、業界内だけはなく一般的な国民に至るまで周知著名性が浸透しているレベルが求められているようにも感じられます。
他の「新しいタイプの商標」のその後
その後も「新しいタイプの商標」は引き続き順調に出願されているようで、平成29年(2017年)2月20日現在、出願件数は1,494件に達したということです。
内訳は、音の商標(517件)、動きの商標(123件)、位置商標(345件)、ホログラム商標(17件)、色彩のみの商標(492件)と、相変わらず音の商標と色彩のみの商標での利用が目立ちます。
なお、2月20日までに登録が認められたものとしては、音の商標(110件)、動きの商標(65件)、位置商標(23件)、ホログラム商標(9件)、色彩のみの商標(0件 注:この時点ではまだ0件です)と、基本的に「新しいタイプの商標」は、商標登録のハードルがかなり高いことがわかります。特に、色彩のみの商標と、位置商標の登録率の低さが際立っています。
ちなみに、登録が認められた音の商標110件をチェックしてみましたが、いずれも歌詞や部分的な音声を含んでおり、純粋な「音」だけの登録例は見当たりませんでした。こちらの登録困難性も、色彩のみの商標に匹敵すると言え、今後の展開が気になります。