| サイトマップ | | プライバシーポリシー |

お問い合わせはこちら

アニメキャラの商品の無許可販売で逮捕(茨城)
(2016年9月9日)

<新着ニュース> by 永露祥生

毎日新聞の2016年9月8日付けのインターネット記事(http://mainichi.jp/articles/20160908/ddl/k08/040/287000c)によると、水戸署と県警生活環境課は7日、無許可でアニメキャラクターが印刷された商品を販売したとして、埼玉県の夫婦を著作権法違反と商標法違反で逮捕したとのことです。

当該記事によれば、逮捕された夫婦は、著作権者の許可を得ずに、インターネット上でアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」など、3作品のキャラクターが印刷された携帯電話ケースと長財布計3点を販売しており、各商品は約4000円で販売されていたとのこと。売り上げは、合計で1600万円にも及ぶようです。

さて、常日頃から知財実務に関わっているとつい忘れがちではありますが、商標権侵害行為と著作権侵害行為は、刑事罰の対象です。一般的な侵害行為については、いずれも「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は併科」であり、決して軽い罪とは言えません。(ちなみに、商標権侵害は非親告罪ですが、著作権侵害は原則として親告罪という違いがあります。)

日本では、商標権侵害や著作権侵害については、偽ブランド絡みや侵害状況が悪質といった事情がなければ、警察はあまり自発的には動かない印象があります。インターネット上のウェブサイトやSNSを見ると、厳密に言えば「著作権違反でアウト」なコンテンツが溢れていることからもわかるように、「いちいち対応していたらキリがない」というのが本音のところなのでしょう。もちろん、だからと言って、他人の知的財産をないがしろにしても良いということにはなりません。実際には、極めて悪質であったり、巨額の売り上げを得ていたり、影響力のある人気コンテンツの侵害であるような場合に、今回のように警察が動くことが多いように思います。

ところで、今回の容疑は「著作権法違反と商標法違反」とあるように、アニメキャラクター商品を著作権と商標権のダブルで保護していることがわかります。商品に描かれたキャラクターイラストについては著作権で、タイトルロゴについては商標権で、といったところでしょうか。

今回のケースとは少し異なりますが、当事務所のコンテンツ「キャラクターの商標登録と保護のポイント」でも紹介しているとおり、キャラクターについてはその性質上、複数の知的財産権で保護することが有効であることにご留意ください。(ちなみに、上記コンテンツでは、「アイドルマスターシンデレラガールズ」のようなアニメやゲームの登場人物としてのキャラクターというよりは、ご当地キャラのようなマスコットキャラクターを想定してご紹介しています。)