商標登録の費用は高いか安いか?(2016年6月14日)
<新着コラム> by 永露祥生
あるところで、「商標登録などをお手伝いする仕事をしています」と言うと、
「あ~、うちも商標登録って興味あるんですよ~!」と返ってくることがあります。
そこで、「あ、じゃあ登録はしっかりされてるんですね?」と聞くと、
「いやいや~、費用が結構かかるらしいし、予算的に厳しくてね~・・・」との返事。
皆さんも、こんな返事を聞いたこと、したことがあるのではないでしょうか。
もちろん、本当に商標登録が必要かどうかという点もありますが、
私からすれば、「商標登録をせずに商標を使用し続けるなんて恐ろしい・・・」、
そして、「必要性に気付いているのにもったいない!!」という気持ちになります。
どうやら、義務ではないためか、事業者の方々にとっては費用対効果の観点から、
優先事項を低く見積もられてしまっている傾向があるようです。
それでは、商標登録の費用は本当に高いのでしょうか?
現在(2016年6月)、わが国で商標登録を受けるために必要となる費用(1区分)は、
出願手数料が12,000円、登録料が28,200円(※10年分)です。
トータルすれば、40,200円ということになります。
たしかに、40,200円と聞くと、プレイステーション4の本体が買えるほどですし、
近場に泊りがけの旅行もできる金額で、決して安いとは言えません。
ですが、ここで商標権の効力が10年間であることを見落としてはいないでしょうか?
10年間で40,200円ということは、1年間換算すると4,020円ということになります。
これを1日ベースにすれば、約11円にすぎません。
1日11円で、あなたの商標を安全に、安心して使用できると考えれば、
「保険料」としても、相当にお得だと思うのですが、いかがでしょうか。
こう言うと、
「いやいや、特許事務所に依頼したらもっとかかるでしょ!?」
とおっしゃる方が多いと思います。
しかし、特許事務所の手数料で仮に100,000円の費用が追加でかかるとしても、
10年間でトータル140,200円です。これを1年間換算すると、14,020円です。
ということは、
1日ベースにすれば、費用は約39円
ということになります。
39円といえば、3日間で缶ジュースを1本買うのを我慢すれば、
たいして苦労することもなく節約できる金額ではないでしょうか。
「先行投資」というと、効果がなかった場合に損をした気分になるものですが、
商標登録は決して「意味がないもの」ではありません。
むしろ、事業を安心・安全、強固に進めていく上では、頼りになる「ウェポン」です。
優先順位が低いと感じるのは、間違った認識であると言い切れます。
ここで述べたことは、たしかに「理論上」のことであり、屁理屈と感じる方もいるかもしれません。
とはいえ、皆さんが費用の観点から商標登録をしようか迷った際に、ご参考になれば幸いです。