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<追記>商標「デュアルスキャン\Dual Scan」事件
(2016年2月22日)

<新着コラム> by 永露祥生

前回取り上げた「デュアルスキャン\Dual Scan」事件ですが、
判決文の電子データが裁判所のホームページで見られるようになっていました。
(どうやら、私が検索を失敗していたようです。。。(スミマセン))
→ http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/685/085685_hanrei.pdf

やはり、争点は商品の類似性でしたね。事件の経緯も予想どおりでした。
ただ、原告が引例として挙げたのは、商標「DualScan」(第5160747号)だけのようです。

裁判所は、商品の類似性については、主に、
「それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,
それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と
誤認される虞がある認められる関係にある」か否かにより判断されるべきであり
(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁),

「商品の品質,形状,用途が同一であるかどうかを基準とするだけではなく,
さらに,その用途において密接な関連を有するかどうかとか,
同一の店舗で販売されるのが通常であるかどうか
というような取引の実情をも考慮すべき」である
(最高裁昭和39年6月16日第三小法廷判決・民集18巻5号774頁)。

そして,「商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,
それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは,同一営業主の製造又は販売にかかる商品と
誤認混同されるおそれがある場合」には,「類似の商品」に当たると解すべきである
(最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決・民集22巻12号2559頁)。


という判断基準を挙げていますね。
そして、かなり詳細に実際の商品の取引実情を考察した上で、

本件査定時においては,医療用の「体脂肪測定器,体組成計」と
家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」は,
誤認混同のおそれがある類似した商品に属するというべきである。


と結論付け、類似性を認めました。

前回の私の予想していた争点内容とは少し異なっており、
それぞれの指定商品が「医療用」及び「家庭用」とは一応認定された上で、
類似性が検討された形となっているようです。

本事件は、商品の類似性を考察する上で、有用な事件であるように思います。
また、このまま判決が確定すれば、おそらく「類似商品・役務審査基準」の何らかの変更もあるでしょう。
いずれにしても、これらの商品について商標調査を行なう際には、気を付けなければいけませんね。