拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更
(2015年12月25日)
<新着ニュース> by 永露祥生
特許庁のホームページにて、
「特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更について
(平成28年4月1日開始予定) 」が告知されました。
これによれば、商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長が、
来年の4月1日(※予定)より、以下の運用に変更されるとのことです。
(1)拒絶理由通知の応答期間内に行う期間延長請求
現行運用:出願人が在外者である場合にのみ応答期間の延長(1か月)が可能 ※合理的な理由不要
新運用 :出願人が在外者である場合でも国内居住者である場合でも、応答期間の延長(1か月)が可能
※合理的な理由不要
(2)拒絶理由通知の応答期間経過後に行う期間延長請求
現行運用:延長不可
新運用 :拒絶理由通知の応答期間経過後2か月以内であれば、出願人が在外者である場合でも
国内居住者である場合でも、1通の請求で応答期間の延長(2か月)が可能 ※合理的な理由不要
・・・・・・
(1)は、これまでも外国の代理人経由で依頼される日本国商標登録出願(いわゆる「外内出願」)においては、
我々代理人にとってはお馴染み(というか、よくお世話になる)の延長請求ではありますが、
この適用対象が出願人を国内居住者とする商標出願にまで拡大される、というわけですね。
当然、延長請求には手数料がかかりますが、年末年始やゴールデンウィーク付近で応答期限が
きてしまうようなケースでは、ありがたい運用変更と言えるかもしれません。
(2)は、完全に新しい運用となります。
要は、応答期間が経過してしまった後でも、経過後2か月以内であれば、
延長請求(2か月)が可能になるということですね。
なお、特許庁の説明資料によれば、
「※期間満了前に応答や期間延長がされた場合でも、期間経過後の延長請求可能」
となっていますので、費用を度外視してうまく請求すれば、最大3か月程度の延長が可能ということでしょうか?
ただ、(2)の手数料は(1)の手数料より高額になるとのことですので、注意が必要です。
現時点でよくわからないのは、経過後2か月以内に延長請求した場合、
延長が認められる2か月の起算点はどこからなのか、という点ですね。。。
これがもし「請求日」からであれば、応答期間経過後2か月の前日まで待って延長した場合、
そこから+2か月となり、合わせて約4か月程度の猶予期間が得られるということになり、
審査の遅延に繋がり妥当ではないように思います。
一方で、「応答期限日」からとすると、結局、「延長申請可能期間=延長後の期間」となってしまい、
たとえば、応答期間経過後2か月の前日に延長申請をしたとしても期限まで残り1日しかないため、
本当に失念していたような場合は、これはこれであまり意味がないようにも思います。
この疑問については、ざっと上記資料に目を通した限りでは正解は見当たりませんでしたので、
詳細がわかり次第、追ってまた本ページに掲載したいと思います。
ちなみに、上記(2)はマドプロ出願にも適用されるということですので、外内案件では大いに助かります。
ただ、実務上は、気になる先行商標出願が拒絶理由通知応答期間内に応答していない場合でも、
2か月以内に「復活応答」される可能性があるため、ウォッチング等においては面倒になる・・・
という側面もあります。
いずれにしても、実務上は重要な運用変更ですので、来年4月以降はご留意ください。